研究概要 |
ETE-2衛星が2005年10月22日に捉えたγ線バースト(GRB)の解析を行った。このGRBは発生から僅か45秒後に位置が全世界へ報告されたにも関わらず可視光での残光が検出されない、いわゆる「可視光で暗いGRB」である。母銀河の観測によりz=0.8と測定されており、母銀河の星形成率が高いことが報告されている。我々は、プロンプト放射からX線残光にかけて一定の吸収(約1.5×10^<22>cm^<-2>)があることを見出し、これは外部衝撃波が発生する領域よりも外にある物質(たとえば分子雲)による吸収を示唆している事を見出した。この結果はPASJ誌に掲載された(Nakagawa et al. 2006, PASJ, 58, L35-L39)。 昨年度、「すざく」衛星を用いてSwift衛星が2006年1月5日に捉えられたGRBのX線残光のToO観測を行った。X線残光を0.4-600keVという広帯域で観測したのは世界初であり、発生から僅か5.3時間後に観測を開始したのはToO観測としては最速である。本年度は「すざく」衛星とSwift衛星により得られた観測データの詳細な解析を行い、これまでに無い初期段階での「ジェットブレーク」を見出した。この結果はPASJ誌に掲載された(Tashiro et al. 2006, PASJ, 59, pp.S361-S367)。 本年度は、短いガンマ線バーストと関連性があると考えられている、軟ガンマ線リピータの「短いバースト」の解析も行った。スペクトルおよびタイミング解析により、スペクトルは「二温度黒体放射」が尤もらしいことを見出し、また活発な時期ほど明るいバーストが起きていることを示唆する結果を見出した。これらの結果はPASJ誌に掲載予定である(Nakagawa et al. 2007, PASJ Accepted)。
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