2007年度は、ガンマ線バースト(Gamma-Ray Burst; GRB)の第三の起源だと提案されている軟ガンマ線リピータ(Soft Gamma Repeater; SGR)の研究を中心に行った。SGRと異常なX線パルサー(Anomalous X-ray Pulsar; AXP)は、マグネター(B〜10^<15>G)の候補天体である。 SGRは数十ミリ秒のバーストを繰り返し起こすことが知られているが、放射メカニズムは解明されていなかった。我々はHETE-2衛星が捉えた55個のバーストのデータを用いて系統的な研究を行った。その結果、1)軟X線と硬X線の放射には2.2±0.4ミリ秒の「時間の遅れ」が存在すること、2)エネルギースペクトルのモデルは二温度黒体放射(〜4keV、〜11keV)が尤もらしいこと、3)放射メカニズムは地震や太陽フレアと類似していることを明らかにした。成果はPASJ誌に掲載した。 SGRとAXPは定常的にX線を放射しているが、放射メカニズムは解明されていない。SGRとAXPは磁気エネルギーの散逸によって、X線・ガンマ線のエネルギーを放出すると考えられている。もしこれが本当ならば、X線定常放射のエネルギースペクトルは、バーストで尤もらしかった二温度黒体放射でよく再現されるはずである。そこで我々は既知のSGRとAXPのX線定常放射についてエネルギースペクトル解析を行い、バーストと比較した。その結果、低温度と高温度の比はX線定常放射とバーストによらず0.4で一定であることを明らかにした。これは、X線定常放射とバーストが自己相似的な放射メカニズムを持つことを示唆する。本研究はPASJ誌で査読中である。 「すざく」衛星を用いたGRB060904のX線残光の研究はPASJ誌、他研究機関との共同でのXRF040916の研究はPASJ誌、GRB070616の研究はMNRAS誌に成果を掲載した。
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