分裂酵母における相同組換え反応のメカニズムを解明するために、昨年度、Rad51の新規のアクセサリータンパク質であるSfr1/Swi5複合体を精製し、一本鎖DNA(ssDNA)結合タンパク質RPAとともにRad51のDNA鎖交換反応を試験管内で再構成することに成功した。そこで本年度は、この再構成系を用いて、Sfr1/Swi5のRad51フィラメントの安定性及びATP加水分解活性に対する影響を調べ、Rad51のDNA鎖交換反応におけるSfr1/Swi5の役割を詳細に検討した。 Sfr1/Swi5によって、Rad51のssDNA依存的なATP加水分解活性が上昇し、また、DNA鎖交換反応も著しく上昇することがこれまでに分かっている。これらの結果からSfr1/Swi5がssDNA-Rad51フィラメントに、直接作用している可能性が高いので、フィラメントの安定性を調べるために塩の効果に注目した。その結果、Sfr1/Swi5によって、ATP存在下で形成されるRad51のフィラメントの塩に対する抵抗性が上昇しており、Rad51のフィラメントがSfr1/Swi5によって安定化することが示唆された。この塩に対する抵抗性は、ADP存在下ではみられないことから、Sfr1/swi5がATP依存的な活性型フィラメントで作用していることが考えられた。ATP分解反応は、反応が進むにつれて溶液内にADPが蓄積していくが、Sfr1/Swi5が存在するとこの蓄積されたADPの影響が小さくなり、ADP濃度が80%に達するまでATPを分解できることが分かった。これらのことから、Sfr1/Swi5がATP型Rad51フィラメントを安定にし、ATPが加水分解されると、効率よくADPを排出し新たなATPを取り込んでいることが示唆された。
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