研究概要 |
1.多素子PDを用いた多自由度位置・姿勢検出センサに関して,従来の姿勢検出は位置検出と受光部が同じで,その光源にはマルチビームを用いていたが,位置変化による姿勢出力への干渉が大きいことから位置と姿勢を別のプローブで検出し,干渉を低減させる手法を提案した.位置検出プローブには従来どおりマルチビーム光源を用い,姿勢検出には位置変化に影響されにくい太いシングルビーム光源を用いる光学系を提案し,波動光学的なシミュレーションより有効性を確認した. 2.マルチビーム光源生成には従来からグリッドパターンという2次元に正方形開口を並べた回折格子を用いていたが,光量を4分の1に減少させてしまうため,受光部における信号増幅率が大きくなり,光ノイズ,電気ノイズがそれにともない増幅されていた.グリッドパターンの代わりに角度格子と同じ正弦波形状を持つ透明な回折格子フィルムを用いることで光量の損失がなく,光ノイズ,電気ノイズに強い光学系を提案した. 3.回折理論に基づいて光学的に位置検出分解能を高める光学系を提案した.角度格子で2回反射させる光学系を構成し,従来100μmピッチの角度格子を用いて100μmピッチの正弦波信号を得ていたのに対し,同じ100μmピッチの角度格子を用いてその半波長の50μmピッチの信号を得られるようにした.また,透明正弦波格子を用いた場合と同様に光量の損失がなく,ノイズに対しても強い光学系である.さらに,グリッドパターン,あるいは透明正弦波格子を用いた光学系ではそのXY軸と角度格子のXY軸の回転ずれが変位検出感度に影響を及ぼしていたが,提案手法においては角度格子そのものをマルチビーム生成素子として用いているため,角度格子にXY軸の微小な回転が生じた場合でも変位検出感度に影響がないという利点がある.
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