研究概要 |
本研究では,超音速混合促進技術の開発を目的とし,噴射によって導入した縦渦と衝撃波の干渉現象およびその結果としてあらわれる混合効率,推力損失の評価をおこなうことを目的としている.本目的達成のため,本年度は噴射によって形成される縦渦の詳細な流速情報と,噴流の濃度情報を取得した.また,縦渦の強度評価に必要不可欠な粒子画像計測法の精度向上や不確かさ解析を目的とし,流速計測結果の補正法を開発した.具体的には以下のとおりである. 1. マッハ数2.4の主流中へ,壁面に対して15,30,60,90度の角度で燃料模擬ガスを噴射し,噴流の形成する縦渦の循環値と噴射孔下流部の主流方向流速を調べた.その結果,循環値は,最も低角度な15度噴射において,わずかに高い値となった.主流方向流速は,噴射角度が低いほど高い値であることが分かった. 2. 噴射孔下流部の濃度分布を計測し,噴流の存在位置を調べた.その結果,試験部断面が小さい本実験条件では,噴射角度が低いほど,噴射気体の最高モル分率位置は,高い位置となった.一方,最高濃度は,噴射角度が高いほど低い値となり,良好に混合が進んでいることがわかった. 3. 超音速流の粒子画像計測法における最大の問題点は粒子の追従性である.特に衝撃波下流部の計測値は,粒子の追従遅れのため大きな誤差を伴う場合がある.この追従遅れによる誤差を伴った計測値を補正するために,ストークスの抗力係数と粒子の運動方程式を基に,新しい補正方法を開発した.上記1の計測値に適用した結果,良好な補正値を得ることが出来た.
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