ユビキチンは標的蛋白質に結合することで蛋白分解のみならず輸送に密接に関与する。標的蛋白質のユビキチン修飾による運命決定は、ユビキチン化酵素(E3)および脱ユビキチン化酵素(DUB)の精緻なバランスにより制御されている。そのバランスの破綻は発癌にも深くかかわるとされている。我々は小胞輸送関連分子STAMに会合する機能分子探索の結果AMSH(Associated Molecule with the SH3 domain of STAM)を同定したが、最近になってAMSHは脱ユビキチン活性を有しており、その不活型変異体導入細胞ではエンドソームにユビキチン化蛋白(cargo)の蓄積がおこることが報告された。AMSHに会合する蛋白を同定する目的で、293T細胞にAMSHを一過性に発現して共沈する蛋白を精製した。その結果、ESCRT IIIの構成要員であるCHMP3を同定した。局在を確認するために蛍光蛋白融合CHMP3を作成し、共焦点顕微鏡下においてAMSHとの局在を観察した。CHMP3はAMSHとともに主にMVB/後期エンドソームに局在していた。さらにAMSH、CHMP3の欠損変異体を作成しそれぞれの結合部位を同定した。CHMP3と結合できないAMSH変異体導入細胞では、AMSH不活型と同様にエンドソームにおけるcargoの蓄積が観察された。以上のことからAMSHはCHMP3と複合体を形成しエンドソームにおいて脱ユビキチン化酵素として機能していることが示唆された。
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