研究概要 |
放線菌Streptmyces rochei 7434AN4株は2種類の抗生物質ランカマイシン、ランカサイジンを生産し、これらの生合成遺伝子は一般的な染色体上ではなく、プラスミドpSLA2-L上にコードされている。我々はこれまでの研究によりpSLA2-Lの全塩基配列を決定し、このプラスミドの大半が二次代謝関連遺伝子に占められ、複製関連遺伝子は3つの複製開始点となり得る遺伝子周辺の限られた領域にあることを示した。 現在、複製可能な最小領域を探索しており、ori1はORF95を含むBelI-EcoRV断片、ori2はORF94を含むKpnI-EcoRV断片、ori3はORF89を含むEcoRI-BglII断片まで絞り込んだ。また、この周辺領域の遺伝子の機能を明らかにするため、個々の遺伝子破壊株の構築を進めている。 また、7434AN4株のプラスミド変異株KE32はpSLA2-Lの右末端側が折り返し構造をしたプラスミドpSLA2-L1をもっている。このプラスミドはpSLA2-Lの3つの複製開始点をそれぞれ2個ずつ持っていることからその構造に興味が持たれた。サザン解析の結果からpSLA2-L1の折り返しの先端はpSLA2-LのPstI-II断片に存在することが明らかになった。現在、その先端部分をPCR法で増幅し、その塩基配列を調べている。 さらに7434AN4株はpSLA2-Lの他にも2つの線状プラスミドpSLA2-M, Sを持っている。複数種の異なる複製開始点を持つプラスミドベクターを構築するためにこれまで構造の明らかになっていないpSLA2-Mの全塩基配列を決定し、その構造を明らかにすることにした。これまでの研究で明らかになっている制限酵素地図を参考にpSLA2-MのPstI断片のブラスミドライブラリーを構築した。このライブラリーを用い、塩基配列の決定を関始した。
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