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2005 年度 実績報告書

初到達時間に基づく境界摂動の理論構築

研究課題

研究課題/領域番号 05J06188
研究機関九州大学

研究代表者

大久保 毅  九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)

キーワード輸送現象 / 不規則系 / 散逸系
研究概要

本研究では、アモルファス合金や半導体微粒子の混合系など、構造が不規則な系の輸送能力を特徴づける際に力を発揮する、境界摂動実験の論理的な解析を目指している。通常の実験手法では注目する系の全体に摂動を加えることが多いが、境界摂動実験では、系の一端のみに時間変化する摂動を加え、それに対する応答を反対の端で観測するのが特徴である。我々は、境界摂動実験の設定から、摂動情報の一端から他端への到達と摂動に対する応答との繋がりに着目している。特に、摂動が粒子の系への流入として与えられる場合に集中して、粒子の運動が量子力学に従うモデル系を対象に研究を進めた。
このモデル系では、粒子の系からの流出を現象論的な複素ポテンシャルで記述することにより、観測可能な量として粒子の端から端への到達時間を定義することができる。解析計算により、このように定義した到達時間の分布が摂動に対する応答関数になることを明らかにし、到達時間分布と応答との関係式を導出した。さらに、乱れた系における到達時間分布を数値的に計算することにより、乱れを強くすることで応答に現れる特徴と、到達時間分布の広がりとの関係を明らかにした。
また、より現実的な系への適用を見据え、構造が時間的に揺らぐ系で、粒子の到達時間を数値的に計算した。揺らぎの基礎的な効果を調べるため、最も単純なモデルとして、周期的に時間変化する不純領域により二つに分断された系を対象に選んだ。計算で得られた到達時間から、揺らぎの振動数が特定の値を取る場合に、端への到達が極端に遅くなる現象を見出した。この現象は、特殊な状況で不純領域を通過する時間スケールが遅くなることを意味している。この点に着目し、不純領域を摂動として扱う特異摂動法で解析計算を行い、分断された一方の領域に局在しているモードの固有エネルギー分布と、到達が遅くなる振動数との関係式を明らかにした。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Dissipative process under a boundary perturbation2006

    • 著者名/発表者名
      Tsuyoshi Okubo
    • 雑誌名

      Physical Review E 73

      ページ: 026128-1-026128-6

URL: 

公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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