研究課題
2004年度、シロイヌナズナでのABAの主要な不活性化経路に関わる4つのABA8'位水酸化酵素(シトクロムP450 CYP707A1〜4)を理化学研究所との共同研究により同定した。本年度は、それぞれのCYP707Aの生理的機能を明らかにするために、乾燥ストレス時および種子成熟から発芽時のCYP707Aの遺伝子発現および変異体の形質解析を行った。T-DNA変異体を用いた解析において、cyp707a1とcyp707a3変異体は葉からの蒸散量の減少と植物体の内生ABA量の増加が観察され、cyp707a1 cyp707a3二重変異体では、それらの形質がさらに強くなった。また、CYP707A1とCYP707A3のプロモーターGUSを作成した結果、CYP707A1は孔辺細胞でCYP707A3は維管束で発現が観察された。これらの結果から、CYP707A1とCYP707A3は異なる発現部位でABA量を制御し、気孔の開閉を制御していることが明らかとなった。イネが冠水するとエチレンの濃度が増加し、内生ABA量が減少することでshootの伸長が引き起こされるが、その分子メカニズムは明らかでなかった。冠水処理後の内生ABA量とABAの代謝産物を分析すると、ABA量の減少に伴い、ABAの代謝産物であるPAの増加が観察された。さらに、冠水初期において、イネのABA8'水酸化酵素遺伝子(OsABA8ox1)の発現量が増加した。冠水時におけるエチレン濃度の増加がOsABA8ox1の発現量を制御しているかを明らかにするために、好気条件下でエチレンやACCを処理した。その結果、好気条件であっても、OsABA8ox1の発現量の増加とABA量の減少が観察された。この結果から、冠水時におけるABA量の減少がエチレン依存的なOsABA8ox1の発現制御によるものであることが明らかになった(東大・中園助教授との共同研究)。
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