1.一酸化二窒素を用いたSi(100)表面酸化初期過程の追跡 (1)概要:Si(100)表面上における一酸化二窒素の吸着挙動とその分解機構を密度汎関数を用いて追跡した。 清浄表面上における一酸化二窒素の吸着構造および解離過程を理論的に解明し、表面酸化の初期過程に対して原子レベルによる重要な知見を得た。 清浄表面に酸素原子を段階的に吸着させた酸化物表面上においても、一酸化二窒素が清浄表面同様の吸着構造を示すことを解明した。さらに表面のSi-Si結合の有無が、一酸化二窒素の吸着状態と振動数に大きな変化をもたらすことを理論的に見出した。各表面上における一酸化二窒素の吸着エネルギーと、表面と一酸化窒素間の電子移動との間に非常によい相関関係があるという画期的な解析結果を得た。 同様にSi(111)表面上における結果も得た。 (2)学会発表:(口頭発表)分子構造総合討論会2005、第86回日本化学会春季年会、(ポスター発表)PACIFICHEM2005 (3)報文:投稿中 2.Si(100)表面上での一酸化窒素の吸着挙動および解離過程 (1)概要:Si(100)表面上の一酸化窒素の吸着および解離ダイナミクスを理論的に解析した。 本研究によって、2分子の一酸化窒素がSi(100)表面上で二量体を形成するという新規な吸着構造を得ることができた。さらに、これらの二量体を経る新規な表面修飾過程を理論的に明示することができた。また、1および2分子の一酸化窒素が清浄および酸化物表面のそれぞれに吸着した場合におけるN-O伸縮振動のマップを作成した。この結果については、国際学会において、専門研究者から高い評価を受けた。 (2)学会発表:(口頭発表)第9回理論化学討論会、(ポスター発表)ISSS-4 (3)報文:投稿中 3.次年度の課題 新規量子化学的手法による世界最大規模のクラスターを用いた表面反応ダイナミクスの解析を行なう。
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