研究課題
本研究は、尿素合成能を持ち、尿素を周期的に排出する真骨魚類であるハゼ科魚類アベハゼ(Mugilogobius abei)を用い、様々な環境要因が尿素合成・排出機構にもたらす影響を生理生化学的に解明することが目的である。平成18年度は、前年度に得られた尿素輸送体の遺伝子配列の一部を元に全配列を明らかにすることに成功し、現在までに報告されている様々な魚の尿素輸送体との比較検討を行った。また申請者は、これまでの研究でアベハゼが尿素排出に明確な日周性を持つこと、そしてそれは尿素合成速度の変化ではなく、尿素排出部位の日周的な変化により引き起こされることを明らかにしている。現在、これまでに得られた尿素輸送体の遺伝子配列を元に、アベハゼにおける尿素輸送体のタンパク量の日周的に変化について研究を行っているところである。さらに、前年度に続き、本年度も約5ヶ月間カナダ・マクマスター大学のWood教授の元で研究調査を行った。その間、尿素排出性動物である海産のサメ、夏眠中に尿素排出性へ移行するハイギョ、アマゾンに生息する数種の熱帯魚の研究を通し、様々な条件下での手術方法、特殊な測定技術を習得した。来年度はアベハゼにおいて、これまでに得られた技術を用いて研究を行っていく予定である。また、本年度はカナダで行われた国際魚類学会に参加し、これまでに行ったアベハゼの尿素合成能に関する研究成果を口頭発表した。そして、その他の参加者との交流を深め、最新の窒素代謝に関する情報を得ることができた。
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