研究概要 |
本研究は,山陰地方の汽水湖沼堆積物を用いて,完新世における自然環境変動の検出と人間活動史との関連を解明することを目的とするものである.平成18年度は,これまでに出雲平野および宍道湖・神西湖で掘削されたボーリングコア解析を通じて,完新世における汽水域の形成と平野の地形発達の関連を堆積学的および地球化学分析によって詳細に明らかにすることができ,その成果を第四紀研究等で論文をしてまとめることができた.さらに,宍道湖コアの研究では,風成塵量,底質環境変化およびヌマコダキガイという二枚貝の混入度などから,過去6000年間のアジアモンスーン変動を詳細に復元することができた.この研究では,完新世における山陰地方の気候変化には太陽活動と関連性を持ちながら大きい変動があったことを初めて明らかにすることができた.この研究成果は,国内外の学会等で講演しており注目されていて,現在国際誌に投稿中である.一方,調査研究としては,島根県隠岐島の男池にて学術ボーリングを行なった.現在採取したコアの機器分析をおこなっているが,江戸時代以降の津波などの自然災害イベントや人間活動史が記録されていることがわかってきた,また,中海・宍道湖においては,ショートコアを採取して20世紀の環境変動を人間活動と絡めて検討した.その結果,富栄養化が少なくとも1950年には生じていていること,本庄工区の近年の底質環境は改善されつつあることの新知見を得ることができた,現在,どちらの研究についても論文化にむけて投稿準備中である.
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