発掘調査へむけた基礎資料整備として、カンボジアでの窯跡分布調査を行った。具体的には、アンロン・トム窯跡、タニ窯跡、カナ・プー窯跡、ソサイ窯跡の踏査を行った。調査ではGPSを導入し、遺跡の位置を正確に記録し、さらに古地形・古流路等の推定復元を行った。またこの調査の結果、これまでに発見されていなかった新たな窯跡3箇所を発見することができた。 アンコール地域遺跡整備機構など関係機関からの次年度以降の発掘調査許可、協力を取り付けた。次年度の具体的な発掘調査時期、期間に関しては年度明けに改めて協議することとなっている 現地調査ではさらに、踏査によって得られた表面採集資料を分類・整理し、これまでの研究成果と比較、検討を行い、生産モデルを構築するための基礎資料を作成した。具体的には、タニ、ソサイ、アンロン・トム窯跡遺跡の資料を実測し、また写真撮影を行った。こうした資料はすべてデータベース化しており、将来の研究で容易にデータ活用を行えるようにした。さらに資料の型式学的な比較分析を行い、こうした資料調査を通じ、アンコール期のカンボジア、シェムリアップ地域では二つの大きく異なる技術集団が存在していたことを明らかにした。あらたに判明した技術体系はそれぞれタニ系、アンロン・トム系の技術体系と命名した。 本年度の研究成果の詳細については試論の形で研究誌(『東南アジア考古学』『上智アジア学』)に投稿、掲載されている。
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