研究概要 |
本研究課題は、骨格筋の廃用性変化に対する運動刺激の効果と適応機構に関する分子メカニズムについて検討することから、運動選手のトレーニング法や、疾病に対する運動療法さらに、高齢者における筋力の維持と回復に関するリハビリテーションの学術的理論に根拠を与え、より適切なプログラムの開発に貢献することを目的として展開された。 本年度における研究実績の概要として、骨格筋の廃用性変化からの回復過程を制御するメカニズムにおいて、特にカルシニューリン系シグナル経路に着目して検討を加えた。その結果、後肢懸垂-再接地過程における筋線維タイプおよび筋線維サイズの制御機構において、カルシニューリン系シグナル経路が遅筋特異的な制御プログラムに関与することを明らかとした(Miyazaki et al.,2006)。 さらに、廃用に伴う骨格筋萎縮を引き起こすメカニズムとして、Nuclear Factor-kB(NFkB)および筋特異的E3ユビキチンリガーゼであるMAFbx(Muscle Atrophy F Box)、MuRF1(Muscle Ring Finger 1)を介したシグナル経路の関与に着目して検討を加えた。その結果、生体における廃用性骨格筋萎縮においては、筋特異的E3ユビキチンリガーゼのうち、特にMAFbxが中心的な役割を担っていること、またMAFbxの発現制御機構に関し、NFkB系シグナル経路が関与することを明らかとした。この研究成果は第53回アメリカスポーツ医学会(Denver, USA, 2006)にて報告された。
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