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2005 年度 実績報告書

有機起源鉱物の生成原理及び反応原理の解明

研究課題

研究課題/領域番号 05J07332
研究機関筑波大学

研究代表者

越後 拓也  筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード有機鉱物 / 有機酸 / 多環方向族炭化水素 / 結晶構造 / 結合原子価 / 炭素同位体 / 鉱物学 / 有機地球化学
研究概要

生物圏起源の有機物が岩石圏に固定されるプロセスとメカニズムを明らかにすることを目的として、代表的有機鉱物であるシュウ酸塩鉱物及び炭化水素鉱物に焦点を絞った研究を行った。
シュウ酸イオン・種々の陽イオン・水分子で構成されているシュウ酸塩鉱物は、現在16種類が知られており(e.g.Gaines et al.,1997)、有機鉱物の中で最も多様性を持つ鉱物グループである。シュウ酸塩鉱物においては水和水の数や結晶構造中での位置がその安定性に大きく影響していることが知られている(Echigo et al.,2005)。しかし、その寄与について定量的な考察はされていない。シュウ酸塩鉱物における水分子の影響の定量的な考察を目的とし、M_2(C_2O_4)・nH_2O(M=Li^+,Na^+,K^+,Rb^+,NH4^+,Tl^+;n=0,1)に対して、結合原子価理論を適用、比較した。その結果、シュウ酸塩鉱物中の水分子は、陽イオンのLewis酸強度とシュウ酸イオンのLewis塩基強度の差を補償する能力を持つことが判明した。さらに、その差の大きさと水和水の数の間には強い正の相関があり、回帰直線から水分子が有する補償能力を0.086v.u.であると見積もることが出来た。従って、valence-matching plinciple(Brown,1981;2002)は無機鉱物だけでなく、有機鉱物にも適用出来ることが解明された。
炭化水素鉱物は、そのほとんどを多環芳香族炭化水素(PAH)を主成分とする鉱物が占める。その中でも今回はカーパタイト(カリフォルニア州産)の生成機構を考察するため、結晶構造解析と炭素同位体組成の分析を行った。結晶構造解析の結果、カーパタイトはコロネン分子(C_<24>H_<12>)がファンデルワールス力によって結合した有機分子結晶であることが判明した。コロネンは高い芳香族性をもつ有機分子であり、高い安定性をもつ。カーパタイト結晶が石英脈に包有されていることから、シリカ成分を含むような熱水活動によって生成されたことは明らかである。また、δ^<13>C=-22.39±0.18%。という値は海洋生物起源であることを示唆している。すなわち、海洋有機堆積物が熱水変質を受けてコロネンとなったものが、その高い安定性のため、ほかの有機分子は分解・揮発し、最終的にカーパタイトとして結晶化したと結論づけた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Crystal structures of Rb_2(C_2O_4)・H_2O and Tl_2(C_2O_4):application of bond-valence2005

    • 著者名/発表者名
      Takuya Echigo, Mitsuyoshi Kimata, Atsushi Kyono
    • 雑誌名

      Acta Crystallographica Section A : Foundations of Crystallography A1

      ページ: C377

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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