研究概要 |
希ガスマトリックス中で希ガスと遷移金属モノカルボニルが化合物を生成する仮説を立て高精度なab initio分子軌道法、密度汎関数法(DFT法)を用いた計算により希ガス遷移金属モノカルボニル化合物(NgNiCO, NgNiN_2,NgCoCO ; Ng=Ar, Ne, He)の存在予測を行った。遷移金属モノカルボニルは希ガスとファンデルワールス結合よりも強いエネルギーで結合し、結合の生成により遷移金属モノカルボニル分子内の変角振動に10%程度の青方遷移が予測される。希ガス遷移金属カルボニル化合物の振動数及び同位体シフトはArマトリックス中で測定された遷移金属モノカルボニルの報告値と極めて近い。これらの結果を総括し、論文誌へ投稿した。更にPtは単原子で希ガスと反応することを予想し、PtNg, NgPtNg,(Ng=Ar, Kr, Xe)の理論計算を行った。Pt原子は希ガスと結合することがCCSD(T)計算より予測された。計算は相対論を考慮して決められた基底を用いて、BSSE、相対論(2nd order DKH)を考慮し行った。希ガスが1つまたは2つPt原子と結合することを示した。希ガス-遷移金属間の結合エネルギーは2つ目の希ガスが結合することにより増大する。また3つ目の希ガスは結合しないことを予測し、これらの結果を総括し論文誌へ投稿した。 Y.Ono and T.Taketsugu, in "The Nature of the Chemical Bond Revisited," ed by W.Linert, (Chemical Monthly 136,Springer Verlag Wien) pp1087-1106 (2005). Y.Ono, T.Taketsugu, and T.Noro, J.Chem.Phys., 123,204321 (5 pages) (2005).
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