研究概要 |
昨年に引き続き、我々がS.cerevisiaeで構築したChIP(Chromatin Immunoprecipitation)-chip法のS.pombeへの応用を試みた。改善点として、免疫沈降後の精製DNAの増幅ステップ時に繰り返し配列が多いなどS.cerevisiaeよりも染色体構造の複雑なS.Pombeにおいて、S.Bell研究室(Southern California大学)で使用されているLM(Ligation-Mediated)法を取り入れ、非特異的増幅部位の検出を押さえる事に成功した。また今まで使用していたグラスビーズよりも硬力の高いジルコニウムビーズを使用し、DNA抽出量を増やすことに成功した。以上の改善点を取り入れる事によりピストンなどクロマチン構造に関わる因子10種について、テロメア領域、セントロメア領域に特異的な結合パターンを得る事が出来た。この事についてはD.Moazed研究室(Harvard大学)と共同研究を進めている途中である。 複製停止、開始に必要な因子についてはS.cerevisiaeを使用し、Ctf(Chromosome Transmission Factor)18を中心に解析を進めている途中である。具体的にはCtf18とコンプレックスを形成しているCtf8,Dcc1それぞれにフラッグタグを付加し結合分布の確認、またこれらのタンパク全ての三重欠失株を作成した。これらの変異株を使用しdNTPを枯渇する薬剤であるHU(ハイドロキシ尿素)を使用してチェックポイントカスケードを活性化させ、複製の停止、再開が断続的に起こる状態の時に、ポリメラーゼなどの複製の因子が複製フォーク上に結合するかなど解析を進めているところである。またCtf18欠失株中で複製因子Cdc45の分布を見た所、複製チェックポイントカスケードが正常な野生株中では発火が押さえられている後期複製開始点上への結合も確認出来たことから、Ctf18は複製チェックポイント因子の一員であると考えられる。そこでこの複製チェックポイントカスケードのどの位置に組み込まれる因子なのか他の複製因子との二重変異株等を作成し、感受性試験を進めている。
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