研究課題
1.樹木の生産量に関する研究将来予測される高CO_2濃度環境下での樹木の生産量(CO_2固定能力)の変化を明らかにするため、本年度は高CO_2環境下で生育させた樹木の樹幹成長量、異なる葉タイプ(陽葉・陰葉)の光合成速度・呼吸速度を調べた。本年度の研究はCO_2付加3年目の実験である。そのため、樹木は高CO_2環境に順化し、樹幹成長量に関しては大きな変化は認められなかった。しかしながら、個葉での応答に関しては、光合成速度の増加や呼吸速度の低下が顕著に認められた。本年度の結果、高CO_2環境下において個葉の生産量が増加することが示された。来年度以降は、葉の量の変化を考慮に入れながら、個体全体としての生産量の変化を生理的な視点から明らかにする。2.水利用特性と通水構造に関する研究高CO_2環境下では葉の気孔が閉じ気味になり、蒸散速度が低下するということが広く知られている。しかしながら、樹木全体(個体)の蒸散速度と深い関係のある木部通水構造の変化について、未だ一貫した結論は得られていない。木部通水構造は樹幹密度にも大きく影響を与えるため、樹木の生産量を評価するために必要な知見である。そこで本年度は、蒸散速度と通水構造の関係をより明確にするため、焦点を個体から個葉にスケールダウンし、個葉の蒸散の変化と、個葉の水分通道に直接かかわる葉柄の通水構造(道管)の変化を調べた。実験の結果、土壌条件、葉タイプ、種にかかわらず、高CO_2処理による葉の蒸散速度の変化は葉柄の通水構造に一貫した影響を与えることが示された。来年度以降は、本年度の結果を踏まえて、視点を個葉から個体にスケールアップし、高CO_2環境下での木部構造変化を評価、解明していく。
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