研究課題
樹木の生産量に関する研究将来予測される高CO_2濃度環境下での樹木の生産量(CO_2固定能力)の変化を明らかにするため、昨年度とひきつづき高CO_2環境下で生育させた樹木の樹幹成長量、光合成速度、呼吸速度を調べた。特に本年度は、弱光下での反応および個体間競争が成長に与える影響について着目した。多くの樹種で、高CO_2処理により光補償点が低下し、暗い環境でも生育可能になることが判明した。また、群落内での個体間競争が変化し、そのことで成長特性が変化する個体(競争が激しく被陰の程度の大きいところでも生存したり、高い成長を示したりする個体)も認められた。この変化は、光補償点の変化に起因していると考えられる。すなわち、高CO_2処理による弱光下での反応の変化が、個体の成長変化に影響をもたらしていると示唆された。来年度は伐採をおこない、バイオマス量の変化をも考慮に入れながら、個体、群落全体としての生産量の変化を明らかにする。水利用特性と通水構造に関する研究高CO_2環境下では葉の気孔が閉じ気味になり、蒸散速度が低下するということが知られている。しかしながら、樹木全体(個体)の蒸散速度と深い関係のある木部通水構造の変化について、未だ一貫した結論は得られていない。木部通水構造は樹幹密度にも大きく影響を与えるため、樹木の生産量を評価するために必要な知見である。昨年度は個葉の反応に着目し、蒸散速度と通水構造との関係の基礎的な知見を得た。本年度は、個葉の知見をスケールアップするため、当年生シュートの反応に着目し、シュート蒸散速度の変化と、茎の通水構造(道管面積および水分通道度)の変化を調べた。その結果、各種環境条件に関わらず、高CO_2環境下でのシュート蒸散速度と通水構造の変化は一貫していることが示された。来年度は、これらの知見を踏まえて個体に視点を置き、高CO_2環境下での木部構造変化を評価、解明していく。
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日本森林学会北海道支部論文集 55
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Proceedings of International conference, Forest Ecosystems of Northeast Asia and its Dynamics 1
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