研究概要 |
1.14C-acetateのin vitroでの動態並びにヒトにおけるacetateの画像化:我々はヒトacetate画像の作製に成功し、これらは脳血流画像などと異なり、脳白質に集積が多かった。ヒトではげっ歯類と異なり白質の割合が極めて高い。この為、ヒト神経系細胞株、アストロ細胞株に加え、オリゴデンドロ細胞株を用いて、in vitroでの14C-acetateの取り込みを検討した。acetateは、アストロ細胞株には取り込まれるが、オリゴデンドロ細胞株には殆ど取り込まれず、ヒト脳acetate画像はアストロサイトの機能、代謝を反映することが示唆された。human MCT-1,2,4各々のsiRNAiを作成し、ヒト画像における取り込み機序を検討。又、脳虚血病態としてOGD(oxygen glucose deprivation)、炎症に関係してLPSにより取り込みが上昇し、MCT-1発現亢進が関与していた。臨床的に用いられている33度で培養すると37度より、acetateの取り込みは低下した。又、神経のシナプス活動(シナプス部でのNMDA受容体活性化)がアストロサイトの代謝を亢進させた。ヒトではげっ類とは異なり、アストロサイトの比率、白質の容積が多く、従来のげっ歯類を用いた病態解明、治療法の開発では不十分な可能性あり、その意味でヒト画像-ヒト細胞を用いた今回の成果は意義深い。 2.初代神経細胞培養系におけるCREB-CRE転写活性の動態:OGD後著明にCRE転写活性が亢進する。CREB KID domainに加え、bZIP domainによっても調節されていた。その制御機構は従来報告されている以外の経路が主で、これらの経路阻害は神経細胞保護効果に繋がる結果が示された。 3.虚血後神経細胞新生:海馬においては、PDEIV阻害薬投与による薬理学的CREB-CREカスケードの活性化は、海馬新生神経細胞の生存を亢進した(論文化)。又CREB dominant activeマウスにて、側脳質周囲での神経細胞新生は亢進しており、これらの虚血後の再生過程にアストロサイトが関与していた。
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