研究課題
電界放射顕微鏡(Field Emission Microscope:FEM)によりビーム誘起堆積Pt冷陰極の電子放出パターンの評価を行った。これにより、ビーム誘起堆積Pt冷陰極の電子放出パターンは複数のスポットで構成されていることが分かった。また、陽極電圧を高くするとスポットの数も増加することが分かった。ビーム誘起堆積Ptはアモルファスカーボン内に直径3nm程度のPtナノクリスタルを内包した構造をしている。そのため、複数のスポットからなる電子放出パターンはPt冷陰極先端のPtナノクリスタルの分布を反映したものであると考えることができる。陽極印加電圧一定時の電子放出パターン及びエミッション電流の時間依存性を計測すると、エミッション電流が激しく振動しており、その電流の上昇、下降に連動して電子放出パターン内に輝点が点灯していることが分かった。これは陰極表面上で真空中の残留ガスが吸着・脱離を起すことによって陰極表面上の局所仕事関数が変化したことに起因している。そのため、電子放出パターンを更に厳密に評価するためには測定前に真空中で陰極表面を加熱クリーニングする必要があると考えられる。400℃アニール処理を行ったPt冷陰極の電子放出パターンも同様の手法で評価した。電子放出パターンはアニール処理をしていないPt冷陰極と同様に複数のスポットにより構成されていた。以上の結果により、ビーム堆積Pt冷陰極から放出される電子により電子波の干渉を観察するためには、Pt冷陰極上のPtナノクリスタルエミッションサイトを制御する必要があることがわかった。この成果を第66回応用物理学会学術講演会(2005年9月7日〜11日徳島大学)で発表した。
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Japanese Journal of Applied Physics Vol.44, No.7B
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