研究課題
金と磁性酸化鉄から成る粒径36〜50nmの複合ナノ粒子を放射線および超音波を用いて合成し、この粒子によるターゲットDNAの吸着分離試験を行った。合成した複合ナノ粒子のTEM観察を行ったところ、磁性酸化鉄粒子表面に多数の微細な金ナノ粒子が付着しており、さらに金の粒径は合成条件により4〜20nmの範囲で制御できることがわかった。一端にSH基を、他端に蛍光標識(FITC)を修飾したオリゴDNA(15mer)と、複合ナノ粒子とを水溶液中で混合し、金表面にSH基側を吸着させた。磁気分離後、蛍光分析によってオリゴDNAの粒子への吸着量を評価し、複合ナノ粒子1ミリグラム当たりに2400pmolのオリゴDNAが吸着していることがわかった。この値は既存の磁気ビーズ(Dynabeads^<【○!R】>など)に比べて1桁大きい。さらに、粒子に吸着させたオリゴDNAをプローブとして、相補配列をもつターゲットDNAをハイブリダイゼーションにより粒子に結合し磁気分離したところ、複合ナノ粒子1ミリグラム当たりに720pmolのターゲットDNAを分離回収することができた。DNA吸着量への金の粒径の影響を評価したところ、粒径が小さい、つまり金の比表面積の大きな複合ナノ粒子がターゲットDNAを効率よく分離できることがわかった。また、ターゲットDNAと共に配列の異なるDNAを共存させ、同様の分離試験を行ったところ、ターゲットだけを特異的に分離できることも確認した。これらの結果は、この金/磁性酸化鉄複合ナノ粒子が生体分子の単離やプロービングに有望な材料であることを示している。
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Journal of Applied Physics (印刷中)