研究課題
本研究は、アイスコアの水同位体比を水蒸気から雪に至るまでの循環の視点で捉え、特にアイスコアの雪の起源(初期値)としての海洋上での水蒸気に注目して同位体比分析を行う。さらに、その結果を世界的にも数少ない極域深層アイスコアである南極ドームふじアイスコアのd-excess記録の解析に利用し、気候変動メカニズムに関する新たな知見を与える水蒸気起源海域の海洋環境変動記録を得ることを目的としている。本年度は、南極ドームふじの水蒸気起源海域の一部であるインド洋上で、水蒸気試料の採取、海面水温、風速、相対湿度の計測を行った。1)南極ドームふじアイスコアの氷期における詳細解析をおこなうために、北海道大学低温研究所で氷試料の再カットを行い、同位体比分析を実施した。2)水蒸気試料の採取手法および同位体分析手法の改良水蒸気の同位体比をかえずに試料できるガラス製採取容器を開発した。室内実験の結果、従来のサンプリング容器に比べて、同位体比の再現性が向上した。船での風向風速を測定し、自動的に大気試料の採取を制御する装置を作成した。採取した水蒸気の水安定同位体比分析をより高精度でおこなうために、質量分析計の前処理装置の改良を行った。その結果、従来よりも50分の1程度試料量で水の同位体比測定が可能になった。3)海洋での水蒸気試料採取海洋観測は、東京海洋大学の海鷹丸の遠洋航海(2005年12月〜2006年2月)に乗船し、船外にとりつけた採取装置から取り込まれた水蒸気試料を船内のブリッジにおいて採取した。
すべて 2005
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Polar Meteorology and Glaciology 19
ページ: 1-14
Bioscience, Biotechnology and Biochemistry 69,11
ページ: 2193-2199