1.明治期石川県における新聞の製産・流通・享受の実態解明 (1)『開化新聞』『石川新聞』の原紙所蔵調査:全国の図書館等の目録を調べ、原紙に当たり、現在確認し得る限りの両紙の原紙の所在を明らかにした。この調査結果については、後掲11「『開化新聞』『石川新聞』の足跡-明治初期石川県新聞事情研究のための基礎的考察-」にて報告した。 (2)石川県立図書館所蔵「吉本文庫」及び石川県立歴史博物館所蔵文書の調査:「吉本文庫」には、『開化新聞』『石川新聞』の刊行主である吉本次郎兵衛の関係文書が収められている。今回の調査によって、『開化新聞』『石川新聞』の発行部数を明らかにした。また、石川歴博所蔵文書調査から、同紙の流通に戸長・副戸長らが関わっていたこと、そして彼らや地方名望家が自ら出資して新聞縦覧所などを設けていたが、しかし、享受の範囲が彼らの範疇にとどまることなどが明らかなった。(これについての論考は、提出・受理済み。来年度刊行) 2.史料調査、及びデータ入力 (1)国立国会図書館・東京大学明治新聞雑誌文庫・石川県立歴史博物館・山梨県立博物館が所蔵する明治期出版文書、特に明治期地方新聞の営業文書、新聞縦覧所や新聞解話会に関する文書などを中心に、史料書誌調査とデータ入力を行った。 (2)京都大学附属図書館所蔵『京都出版史料』の分析とデータ入力。今年度は<本屋の営み>という視点から当該史料を分析した。文書が多岐にわたるため、来年度も引き続き行う。同文書の、書籍の製産現場における分析については、後掲11「説教学全書の製作費用-明治20年代後半、京都の本屋<文栄堂>の史料から-」にて報告した。
|