近世の東アジア国際関係を、その重要な要素であった中国型世界秩序と日本型華夷秩序の狭間に存在した琉球王国を題材に検討する。具体的には、琉球王国の国家構成原理の中に「中・日の支配論理」がどのような形で内在化していたのかを検証し、ミクロ/マクロな観点から中日の秩序の継ぎ目の具体的な構造を解明することを目的としている。そのための基礎調査として、本年度は史料収集とフィールドワークを重点的に行った。以下の如くである。 (1)沖縄本島における史料収集(異国船関係史料の収集)とフィールドワーク(近世期の港湾跡の調査)を実施。(2)九州(鹿児島・福岡)における日本対外関連史料中の琉球関係記事の調査・収集、及び琉球を含む南九州の対外関係史跡の調査を実施。(3)日本国内(東洋文庫・東大東洋文化研究所など)における中国(明清)の「地方志」及び「文集」における琉球関係記事の調査・収集の実施。(4)アメリカ合衆国のピーボディエセックス博物館(セーラム)の海事関係史料(主に近世期の古地図)の調査を実施。(5)イリノイ大学所蔵の近世東アジナ関係史料の調査を実施。(6)研究成果の発表を実施。[学会報告: The Association for Asian Studies(アメリカ)、史学会(東京大学)、論文発表:「清に対する琉日関係の隠蔽と漂着問題」(『史学雑誌』114-11号、2005年11月)、「中日の支配論理と近世琉球-「中国人・朝鮮人・異国人」漂着民の処置をめぐって-」(『歴史学研究』810号、2006年1月)など計6本]
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