研究課題
17年度6月より、英国のケンブリッジ大学応用数学理論物理学部に滞在し、天体の対流層と上空大気の磁気流体ダイナミクスを同時に解くための数値シミュレーションコードの開発を主として行っている。重力成層のためガス密度、エネルギー密度が大きく変化する領域のダイナミクスを精度よく解くために、CIP-MOCCT法と呼ばれる手法を用いた既存のコードに、対流層を適当に取り扱うための散逸項と境界条件を実装した。これまでに、臨界レイリー数等、磁気対流の解析的な理論を再現するコードのテストはほぼ終了した。磁気流体の非線形問題のテストとして、現在ケンブリッジのProctor教授、Weiss教授らのグループが使用しているスペクトラル法を用いた磁気流体コードによる計算結果と、開発中のCIP-MOCCT法を用いた計算結果の比較を行っている。平行して、対流がない状態での太陽面浮上磁場領域の磁気流体シミュレーションを行い、浮上磁場領域の基本的なダイナミクスについて、特に微細構造の形成や電流シートの形成、それにともなう磁気リコネクションの起き方などを調べた。これらの結果は対流を含めた場合に浮上磁場のダイナミクスがどう変わるか調べる際の基礎的データとなる。太陽フレアループの流体シミュレーションに基づいて、X線、紫外線、可視光による太陽観測データを定量的に解析し、太陽フレアのエネルギー解放率とリコネクション率の精密測定を行った。また、浮上磁場領域、コロナ質量放出現象の磁気流体シミュレーションを実行し、それに基づく観測データの解釈と、18年度打ち上げ予定の日本の太陽観測衛星、Solar-Bの観測計画に関する検討、提言を行った。
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天文月報 2006年2月号
ページ: 66
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Proceedings of the International Scientific Conference on Chromospheric and Coronal Magnetic Fields ESA SP-596
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