• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2005 年度 実績報告書

立ち現れる巨大娯楽空間-19世紀英国における「文化」の制度化と公共性-

研究課題

研究課題/領域番号 05J10919
研究機関東京大学

研究代表者

伊東 剛史  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード科学 / 娯楽 / 19世紀ロンドン / 文化の大衆化 / レジャーの商業化 / 動物園
研究概要

19世紀イギリスでは,識字率の増加,印刷技術の発展,読者層の拡大により,科学の知識を獲得することが知的な余暇活動として,大衆文化の中に組み込まれていった。また、動物学会,天文学会,地質学会など,自然科学の個々の専門領域を担う科学団体が立ち現れ,「科学者」scientistという言葉が誕生し,科学の制度化が進む一方,科学研究の意義や,科学そのものの意味が積極的に議論され始めた。このような状況のなかで,1826年に設立されたロンドン動物学会は動物学の知識を生み出し,それを社会に広める科学団体として,どのように知識の大衆化に対応したのかをこの論文では明らかにした。国庫からの資金援助を受けないロンドン動物学会にとって,学会が経営するロンドン動物園は貴重な資金源だった。そのため,多額の入園料を必要とする動物園は,営利目的の興行主が用いる手法を取り入れ,科学のアミューズメント・パークへと変貌を遂げた。様々な人々が楽しみながら自然の知識を獲得するという動物園の姿が定着したのである。しかし,この動物園の変貌は,科学の知識に対する人々の考え方に大きな問題を投げかけた。動物園が見物客に提供する楽しみは,純粋に科学的な楽しみではなく,娯楽的な要素が強いと考えられたからである。こうして,動物学会の科学団体としての役割をめぐる議論の中で,科学の知識には,純粋に科学的なものと,啓蒙や教育に用いられるものとの区別が必要であると理解されるようになった。このように,知識の大衆化が進行する社会において,それまで明確な区分はないと捉えられていた科学と娯楽を対置させる議論の枠組みが現れてきたことを明らかにした。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 19世紀ロンドン動物園における科学と娯楽の関係 文化の大衆化とレジャーの商業化に関する一考察2006

    • 著者名/発表者名
      伊東剛史
    • 雑誌名

      社会経済史学 76官号

      ページ: 46-71

URL: 

公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi