研究課題
私は、ひろくブレイン系の興味深い性質とその記述法に注目して研究している。とくに平成17年度ではDブレインが交叉する系を中心に研究したが、当該平成18年度はDブレインとNS5ブレインが交叉する系を扱った。とくにDブレインとNS5ブレインが交叉しDブレインの上にN=1超共形クイヴァー型ゲージ理論が実現されるような系の性質を解析した。超共形な理論とは、超対称性を持ち、さらに系のスケールの変換に対して不変な理論を意味する。そしてクイヴァー型というのは、理論に存在する場がゲージ場とゲージ群の双基本表現により変換する物質場であることを意味する。じつは弦理論において、ブレインタイリングとよばれる一定のアルゴリズムによりDブレインとNS5ブレインを交叉させることにより、可算無限個の超共形クイヴァーゲージ理論を構成できることがわかっている。そしてこの交叉の仕方だけからブレイン上のゲージ理論のゲージ群と物質場の種類と、N=1超対称な理論を規定するスーパーポテンシャルを容易に読みとることができる。私の研究は、ブレインの交叉の仕方という位相的情報だけでなく、ブレインの幾何学的形状や位置といった情報が、対応するゲージ理論のどういう自由度・情報に対応するかを調べるというものである。具体的には、ブレインの位置をずらす自由度が、対応するゲージ理論に存在する結合定数を理論の超共形性を保ちながらずらす自由度に対応することを示した。次の目標は、もっと詳しいブレインの幾何学的情報とゲージ理論の真空や力学などの情報の関係を明らかにすることである。
すべて 2007
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Progress of Theoretical Physics Vol.117,No.5(印刷中)