研究概要 |
Ashraを用いたTeV-γ線の試験観測として、Hawaii州Maui島での実験を2005年9月まで行った。これまでに世界で行われた大気Cherenkov光を利用したTeV-γ線望遠鏡では、光電子増倍管の配列を用いた手法が採られてきた。しかし、Ashraの特長であるImage Intensifireを用いた撮像方法を用いる事によって、世界で初めてのImage Intensifierを使った大気Cherenkov光の有為な撮像に成功した。 2004年から2005年春にかけて、この試験望遠鏡でカニ星雲からのTeV-γ線を観測した。この結果、5δの有為さでTeV-γ線の検出に成功した。 この試験望遠鏡は経緯台式の望遠鏡であったが、Ashraの本番観測では固定望遠鏡となるため解析方法が異なってくる。今回の観測から得られた経験を基にして、今後解析手法を確立させていく。 2005年9月から、観測地をMaui島からHawaii島のMauna Loa山へと移動した。この観測地は標高3,300mに位置しており、世界で最も標高の高い大気Cherenkov光の観測地となる。この場所で、望遠鏡の第1号機の設置を行った。格納庫の建設、望遠鏡架台の設置、鏡とレンズの設置を行い、光学系の精度評価と安定性の評価を行った。Ashra望遠鏡で要求している、光学系の解像度1分角を達成し、観測に問題ない精度を得られていることが分かった。 この光学系の設計(光線追跡)は研究代表者が行ったものである。Maui島で試験を行った光学系は、本番の設計の3分の2の大きさのものであった。そのときの設計も基本は研究代表者が行ったが、これを1分の1の大きさで再設計するにあたり、レンズの厚さが十分に確保されて撓みが問題とならないよう、レンズの設計変数を最適化し直した。
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