今年度はガンマ線バースト(GRB)専用衛星Swiftが打ち上げられ観測的には発展があったが、そのセントラルエンジンに関してはまだまだ謎が残っている。今までの観測事実によりGRBは星の重力崩壊の結果だと考えられており、星から吹き出るジェットの性質が議論できる磁気流体シミュレーションに注目が集まっている。本研究では今までのニュートン力学的に行われてきたシミュレーション手法の問題点を指摘し、新たな特殊相対論的計算コードを開発、完成させた。その結果、長時間安定な計算が可能になり、今までは中心部でのジェット生成しか議論されていなかったものが、その後の星の中での伝播過程さらに、星の外に出るまで統一的に計算可能になり、ジェットの性質と外への影響がより明らかになった。また星の中心にマグネターが残ることが示唆されるが、星の自転の様子によってできるマグネターの性質の違いについても議論した。(論文作成中) 観測技術の進歩により、宇宙で最初に作られた星が間接的に議論可能となってきた。本研究では世界に先がけ、宇宙初期に作られた非常に重い星の自転磁気重力崩壊のシミュレーションを行った。今までは単純にブラックホールにつぶれるだけだと考えられていたこの現象だが磁場が強い場合にはジェット状の爆発が起こることを示した。(ApJ査読中) 近年、シミュレーションをより少ない過程で自由度を高く行うことで見える流体不安定性などが注目を集めている。本研究ではは二次元軸対称の計算において今まで仮定されてきた赤道面対称を外した上で星の自転重力崩壊の計算を行った。このことにより中心に残される原始中性子星の振動やより現実的な流体不安定性を追う事ができた。本研究ではこのときの重力波波形の計算を行い、星の自転のしかたの違いによる波形の差異を示した。さらに超新星爆発関連の謎の一つであるパルサーキックの問題を考察した。(論文作成中)
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