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2007 年度 実績報告書

深部低周波微動の定量的モデル構築によるプレート境界における物理過程の解明

研究課題

研究課題/領域番号 05J11814
研究機関東京大学

研究代表者

中村 祥  東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード深部低周波微動 / 超低周波地震 / 低周波振動現象 / スロースリップ / スケーリング / 紀伊半島 / フィリピン海プレート / 沈み込み帯
研究概要

本研究では、深部低周波微動(DLFT)の発生メカニズムを解明することを目的とした。2006年東海地域で名古屋大学と共同で行ったDLFTのアレイ観測の結果を解析し、連続的に発生している微動の短いスケールの時間変化を得ることに成功した。その結果、震源の移動は基本的にプレートの走向に平行な方向で、時速約40kmの移動とほぼ同じ位置での発生とを繰り返す様子が得られた。また、初動が不明瞭で微動の開始終了をはっきりとは定義することは困難なDLFT波動継続時間を見積もる方法を開発した。見積もられた波動継続時間の間の各アレイ観測点でのエンベロープ振幅積分をEAI値と呼び、微動の大きさの指標とした。その結果、検測された微動の多くが波動継続時間45秒前後を持ち、かつその波動継続時間においては他の波動継続時間と比較してEAI値が広い範囲にわたることが示された。この特徴的波動継続時間の存在は、DLFTのメカニズム示すうえで重要な性質である。EAI値から地震モーメントヘの変換を行い、DLFTの単位面積あたりのモーメント解放量を推定した。その結果、1日の活動でおよそ7.5x10^5(N m/m^2)という結果が得られた。DLFTと比較することでその特徴的性質を得るため、2004年紀伊半島南東地震の余震観測の際に設置された海底地震計(OBS)に記録された低周波の微動について解析を行った。決定された震源は、トラフ軸に垂直な方向に分布する。震源分布は超低周波地震の震源にほぼ平行で、相補的な位置に広がる。この結果から、この微動が超低周波地震とは別の現象であることが示された。震源が相補的に分布することは、トラフ近傍の物理過程を考えるうえで非常に重要な結果であり、共に安定、不安定すべりの遷移域である沈み込み帯深部との対応から、この現象が「浅部低周波微動」である可能性が示唆される。成果を博士論文にまとめた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2008

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 紀伊半島南東沖浅部で発生した低周波微動とその震源分布2008

    • 著者名/発表者名
      中村 祥・武尾 実・山田 知朗・篠原 雅尚・金沢 敏彦
    • 学会等名
      第858回地震研究所談話会
    • 発表場所
      東京大学地震研究所第一会議室
    • 年月日
      2008-02-22
  • [学会発表] 2006年愛知県深部低周波微動アレイ観測による深部低周波微動震央の連続的時間変化2008

    • 著者名/発表者名
      中村 祥, 武尾 実, 中道 治久(名古屋大学)
    • 学会等名
      第858回地震研究所談話会
    • 発表場所
      東京大学地震研究所第一会議室
    • 年月日
      2008-02-22
  • [学会発表] 様々な低周波振動現象-沈み込み帯を中心に2008

    • 著者名/発表者名
      中村 祥
    • 学会等名
      研究集会「地球科学と非平衡物理」
    • 発表場所
      東京大学地震研究所
    • 年月日
      2008-02-22

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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