Plane-wave背景時空上のM理論の行列模型はM理論における背景場の性質について示唆に富んでいるという点で超弦理論の非摂動的な理解に一役を担うと思われるが、近年のLin-Lunin-Maldacenaによる超重力理論の1/2BPS解たちの中で広いクラスを与える枠組みにいての結果を中心に、ヤンミルズ理論およびそれに類似したPlane-wave行列模型のような理論が、超弦理論の摂動論の枠を超えた古典背景場を記述する可能性の吟味をした。 まず、昨年度の研究を継続してLin-Lunin-Maldacenaによる解がヤンミルズ理論側の対応物として予想される演算子の性質を再現するかどうかの検証を目的として、ヤンミルズ理論側のSO(6)R対称性変換の重力理論側での再現を試みた。Lin-Lunin-Maldacenaの用いた座標を一旦グローバル座標に直したところで自然にSO(6)を表現しその変換のLin-Lunin-Maldacenaの解に対する作用の仕方を見た。確認した結果の内ヤンミルズ理論から予想されるものと矛盾するものは無かった。また、Gava-Milanesi-Narain-O'LoughlinによってLin-Lunin-Maldacenaの解が広いクラスの1/8BPS解に拡張されたが、それらの解の中へのLin-Lunin-Maldacenaの解の埋め込まれ方についての詳細を議論した。 また、Lin-Lunin-Maldacenaの二つの理論間の(広い意味での)スペクトルの対応を、理論間のダイナミクスの対応にまで格上げする目的で、Jevicki-Yoneyaによって提案されたLin-Lunin-Maldacenaの解たちに対して解析接続をした多様体たちの、超重力理論の解としての位置付けを試みた。IIB-star超重力理論が最大超対称な解として同じものを持つことからそれ以外の解をIIB-star理論のBPS解として導出する方法を議論した。
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