研究概要 |
地上から大電力マイクロ波ビームを用いて推進エネルギーを供給するマイクロ波ロケットは低コストの宇宙輸送システムとして期待されている。繰り返しパルス形のマイクロ波ビーミング推進では、大電力のパルス状マイクロ波によって気中放電を発生させ、これに伴う衝撃波が作り出す高圧を利用して推進力を発生させる。本研究では、プラズマと衝撃波によるマイクロ波ロケットの推力発生メカニズムを明らかにするとともに、その設計手法を確立することを目指している。気中放電によるプラズマ波面は、マイクロ波を吸収しながらビーム上を伝播する。投入エネルギーを有効に利用するためビーム軸と平行な円管を持った推進器モデルを設計し、その推力測定を行っている。これまでの測定の結果,投入電力あたりの発生推力を示す運動量結合係数について、円管の長さとマイクロ波のパルス幅について最適条件が存在することが示された。また、プラズマ波面の伝播速度が超音速となる条件で高い運動量結合係数が得られた。これはプラズマ波面が超音速で伝播することで強い衝撃波が生じたためと考えられる。 連続的に推力を発生させるには、マイクロ波パルスを繰り返し投入する運転をおこなう必要があるが、これまでの実験では、特に繰り返し周波数が高い場合に、パルス間での給排気プロセスが間に合わず性能が低下する問題があった。2006年度は、給排気プロセスを促進するため、推進器の着火部近傍より強制的に吸気するシステムを開発し、推進器内に10m/s程度の流速を維持させた。圧力履歴を測定し、PDE型の推力発生モデルによって推力を見積もった結果、高い繰り返し周波数においても性能の低下なく運転できることを確認し、50Hz繰り返しにて1秒間の連続運転を行うことに成功した。
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