地上から大電力マイクロ波ビームを用いて推進エネルギーを供給するマイクロ波ロケットは低コストの宇宙輸送システムとして期待されている。繰り返しパルス形のマイクロ波ビーミング推進では、大電力のパルス状マイクロ波によって気中放電を発生させ、これに伴う衝撃波が作り出す高圧を利用して推進力を発生させる。気中放電によって生じるプラズマの電離波面は、マイクロ波を吸収しながらビーム上を伝播する。そのため、投入エネルギーを有効に利用するためビーム軸と平行な円管を持った推進器モデルが有効であると考えられる。本研究では、プラズマと衝撃波によるマイクロ波ロケットの推力発生メカニズムを明らかにするとともに、その設計手法を確立することを目指している。 これまでに、マイクロ波ロケットの推進器モデルを用いて、発生推力の測定とともに、内部で形成される衝撃波の測定を行った。マイクロ波プラズマによって衝撃波が駆動されるメカニズムとして、マイクロ波支持燃焼(Microwave Supported Combustion)モデルを提案した。このモデルは、レーザープラズマによる衝撃波形成のメカニズムとして知られているデトネーションモデルとことなり、マイクロ波ロケット内で観測されるようなマッハ数が2程度の低速の衝撃波にも適用することができる。モデルに基づく計算結果は、これまでに実験で観測された衝撃波の圧力パラメータなどを再現した。この結果を用いることにより、PDE型推力発生サイクルを用いて推力性能を算出した。その結果、プラズマ波面の伝播速度が超音速となる条件で高い運動量結合係数が得られる要因として、プラズマ波面が超音速で伝播する場合には、強い衝撃波が維持されることを明らかにした。
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