研究概要 |
1,金属/二元系酸化物薄膜/金属の接合構造における抵抗メモリ効果に関する研究 ペロブスカイト型酸化物薄膜における電場誘起抵抗メモリ効果が報告されて以来,抵抗メモリ素子の開発は活発に進んでいる.数あるメモリ材料候補の中でも二元系遷移金属酸化物は組成が単純,原料が安価,プロセスが容易などの理由から注目されている.抵抗メモリ効果のメカニズムとしては遷移金属酸化物特有のキャリア注入による相転移現象や界面抵抗の変化などが提案されているが,現時点では全く解明されていない. 通常のキャパシタ型素子では酸化物薄膜を上下電極でサンドイッチするため,ミクロンスケールの電極間距離をもつ素子の作製は難しく,抵抗メモリ効果が酸化物/電極の界面,バルク領域のどちらで発現しているのかを判別することが困難であった.本研究において,界面抵抗がバルク抵抗に比べてはるかに小さい(電極間距離が数μm程度である)Ni/CuO/Ni構造プレーナ型素子を作製しキャパシタ型と同様の巨大抵抗変化メモリ現象を観測できたことから,CuO膜における抵抗メモリ効果はバルク領域の抵抗変化が支配的であることがわかった. 2,V_6O_<13>単結晶へのプローブ酸化加工による局所ヘテロ接合の作製 パルスレーザー堆積法を用いた酸化物薄膜成長法が発展し,多種多様な酸化物薄膜の物性評価・接合特性評価が進められているが,酸化物は元素半導体,III-V族化合物半導体に比べ,界面の制御が難しいため異種物質との良好な接合を得ることが難しい.そこで本研究では,酸化物基板としてへき開性を持つ混合原子化酸化物であるV_6O_<13>を選択し,伝導性AFMプローブを利用した表面酸化加工によって,絶縁性酸化物/伝導性酸化物V_6O_<13>のヘテロ接合を作製し,室温において非線形電流電圧特性を観測することに成功した.
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