• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1996 年度 研究成果報告書概要

ロシアにおける地域社会の動態分析

研究課題

研究課題/領域番号 06041001
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分学術調査
研究機関北海道大学

研究代表者

山村 理人  北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (60201844)

研究分担者 KRASILNIKOV セルゲイ  国際経営学研究所, 研究員
STARODUBROVS ビクトル  国際経営学研究所, 副所長
田畑 伸一郎  北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (10183071)
皆川 修吾  北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (60121472)
吉井 昌彦  神戸大学, 経済学部, 助教授 (80191542)
村上 隆  北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (20261357)
大津 定美  神戸大学, 経済学部, 教授 (20081119)
石川 晃弘  中央大学, 文学部, 教授 (80055178)
STARODUBROVSKY Victor  International Institute of Management (Moscow)
研究期間 (年度) 1994 – 1996
キーワードロシア / 企業 / 民営化 / 機械工業 / 経済改革 / 極東 / 地球労働市場 / 地域エリート
研究概要

ロシア・ヨーロッパ部の4都市(モスクワ、ボロネジ、ニジュニイ・ノブゴロッド、チェリャービンスク)およびロシア極東の3都市(ハバロフスク、コモスモリスク・ナ・アム-レ、ウラジオストク)で地域における経済・社会の構造変動の動態について調査を行なった。
このうち、調査の中心になったのは企業レベルの動態であり、7都市で合計約50の機械製造分野の旧国有企業が選ばれて詳細に調査された。これらの調査の中で、民営化に伴う企業レベルでの変化が当初の予想をはるかに上回って進みはじめ、(1)指導者層の交替と新しい意思決定構造の形成が見られるようになったこと、(2)特に経営者支配が強まり、ペレストロイカ時代に一時的に強まった従業員の「自主管理的」な参加制度が殆ど崩壊したことが、明確なファクト・ファインディングとして得られた。しかも、3年間の動態調査の中で、(3)民営化当初のインサイダーによる企業支配が崩れはじめ、アウトサイダーの投資家の影響力が次第に強まりつつあることも明らかになった。(4)1990年代になってモスクワでつくられた旧部門省系の中間団体の企業に対する影響力が全く失われていることも確認された。また、(5)企業の目標や行動様式について、新しい環境への「順応」のための変化が顕著となり、伝統的な生産品目の修正、調達先と販売先の変更、支払方法や取引形態における工夫、価格形成原則の変化、社会分野の負担削減などが多くの企業で見られるようになっていることも明らかにされた。
さらに、以上の調査の対象となった企業の中から、4つの都市(モスクワ、ニジュニイ・ノブゴロッド、ボロネジ、ハバロフスク)の各1企業、合計4企業を選び、より詳細なケース・スタディを実施した。調査は、各企業のトップマネージメント、中間管理職、一般従業員、労組活動家など企業の各層に対する合計数百本に及ぶインタビュー、各企業について3百のサンプルを抽出しての従業員意識調査、各企業のマネージャー、専門家との数度にわたるワークショップ(日本へ招聘して日本企業との比較の見地から行われたものも含む)などを実施した。
これらの調査の結果は、現在も整理・分析が行われているが、先に述べた調査の第一段階では明らかにはならなかった点について、より明瞭なファクト・ファクトファィンディングがなされている。たとえば、現在、深刻化している企業の財務上の問題、特に一連の未払問題(企業間の未払、税金の未払、賃金の未払など)が起きているメカニズムとその背景について、今回の調査で初めて明らかにされた。また、企業内の様々な経営問題等に関する意思決定のプロセスが詳細に調べられ、それによってロシアの企業が持っている意思決定構造や「企業内社会関係」、情報の処理と保有のされかたなどの伝統的な特徴とそれが変化しつつある方向が明らかされた。従業員意識調査においては、「帰属度・参加意識」、「職務満足度」、「階層間の社会的距離」の測定を通じた社会学的分析を行い、同様のデータがすでにある日本、欧米および東欧の旧社会主義諸国と比較することにより、ロシア企業の特徴を浮き彫りにすることに成功した。
また、同じように比較の見地から、中・東欧諸国でも補足的な調査と、ロシアと東欧諸国の比較に関するワークショップを持った。これらの作業により、体制移行期における旧社会主義国全般の民営化企業の動態についての諸傾向を確認すると共に、その中でロシアにおける動態の特徴が明らかにされた。
さらに、これらの調査と連携して、地域の労働市場の調査、地域行政の調査、地域エリートの調査が行われ、企業を基軸としてロシアの地域が経済と社会が全体として、どのような変貌をとげつつあるか、特に旧来からの構造が「経路依存性」としてどのように地域の動態を規定しているのかを明らかにした。

  • 研究成果

    (18件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (18件)

  • [文献書誌] Akihiro Ishikawa: "Power Structure at the Decision-Making in Russian Firms" Socio-Economic Dimensions of the Changes in the Slavic-Eurasian World,Slavic Research Center. 254-269 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 山村理人: "体制転換期における企業の組織と行動" 『講座スラブの世界6 スラブの経済』弘文堂. 286-312 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 山村理人: "ロシアの企業改革:機械工業における実態調査の結果" スラブ研究センター・研究報告シリーズ. 58. 10-38 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 大津定美: "ロシア極東の企業経営と労働市場-ハバロフスク地方を中心とした経済改革動向-" 『ロシア連邦極東地域研究』,日本国際問題研究所. 21-35 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 大津定美: "転換期ロシアの機械工業" 『社会科学研究』,東京大学社会科学研究所. 48(3). 205-235 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 大津定美: "転換期ロシアの雇用・労働統計について" 『国民経済雑誌』神戸大学経済経営学会. 173(6). 37-52 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 村上隆: "ハバロフスク地方および沿海地方における機械工業企業の動態分析" 『スラブ研究』,北海道大学スラブ研究センター. 44. 147-179 (1997)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Shogo Minagawa: "Regionalism in Transition Period : the Case of Primorskii Krai" 重点領域研究報告輯、北海道大学スラブ研究センター. 11. 1-40 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 吉井昌彦: "ロシアにおける企業間未払問題についての覚え書き" スラブ研究センター・研究報告シリーズ. 58. 1-7 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Akihiro Ishikawa, Rihito Yamamura: "Power Structure at the Decision-Making in Russian Firms" Socio-Economic Dimensions of the Changes in the Slavic-Eurasian World, Slavic Research Center. 254-269 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Rihito Yamamura: "Oranization and Behavior of Enterprises in Transition" Economy of the Slavic World, ed.by Mochizuki, Tabata, Yamamura (Kobudo). 286-312 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Rihito Yamamura: "Enterprise Reform in Russia" SRC Occasional Paper Series. 58. 10-38 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Sadayoshi Ohtsu: "Enterprise and Labor Market in Russian Far East" Regional Studies of Russian Far East, Japan Institute of International Affairs. 21-35 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Sadayoshi Ohtsu: "Russian Machinery Industry in Transition Period" Social Science, Tokyo University Institute of Social Science. 48 (3). 205-235 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Sadayoshi Ohtsu: "Russian Employment and Labor Statistics in Transition Period" Journal of Nation Economy, Kobe University. 173 (6). 37-52 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Takashi Murakami: "Dynamic Analysis of Machinery Industry in Russian Far East" Slavic Studies, Slavic Research Center. 44. 147-179 (1997)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Shogo Minagawa: "Regionalism in Transition Period : the Case of Primorskii Krai" Priority Research Project Report Series. 11. 1-40 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Masahiko Yoshii: "A Note on the Unpayment Problem of Russian Enterprises" SRC Occasional Paper Series. 58. 1-7

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

URL: 

公開日: 1999-03-09  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi