研究課題/領域番号 |
06041009
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐藤 俊 筑波大学, 歴史・人類学系, 助教授 (00114497)
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研究分担者 |
WANDIBA Simi ナイロビ大学, アフリカ研究所, 所長教授
KASSA Getach アディスアベバ大学, エチオピア研究所, 研究員
松園 万亀雄 東京都立大学, 人文学部, 教授 (00061408)
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キーワード | 地域経済 / 社会変化 / 家畜取引 / 灌漑農業 / 開発組合 / 東アフリカ / 遊牧社会 / 民俗技術 |
研究概要 |
平成6年度は、全体計画の初年度にあたる。従来の研究実績をもつ研究者は、分担課題に準拠して当該社会の継続調査を行い、社会変化の資料を収集すると同時に地域経済の動態に関する資料も収集した。佐藤はレンディーレの継続調査をしつつ、ガリランドの地域経済に関するあらたな調査を開始した。ゲタッチョはボラナの調査をしつつ、あらたにアファールの調査を行った。湖中は、ケニア北部のサンプルを継続調査して、社会変化と地域経済に関する資料をサンプルランドを中心として収集した。 松園は、グシイを継続調査しつつ、植民地時代から現在までの政府の政策を知るために公的歴史文書を収集した。また、比較研究のために、はじめてメル-社会の調査をおこなった。ワンディバは、クリアランドとグシイランドを含む地域で考古学研究をおこなうと同時に民族技術の収集とその分類に関する現地調査を行った。片上(研究協力者)が調査をはじめたエンブ系のムベレは、メル族とならんでケニアの換金農業の発展を先導してきた人々である。先行研究が少ないために、片上は共同体社会の構造を明かにする作業をおこなった。 上記の調査によって、以下の知見がえられている: 1)三国国境の地域経済は、為替の国際的変動の影響をうけている。 2)遊牧民の伝統的な家畜取引は、市場経済の浸透によって現金取引に変質する。 3)灌漑設備が必要とされる周辺地域は、開発組合を個別的に結成して設備資金を調達することによって開発される。 この過程で、共同体的社会の住民構成の流動化、言語的、文化的、経済的な多様化といったあらたな社会的流動化現象が発生している。この問題を地域経済の安定化という視点から理解できるものと考えられる。
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