研究課題
1.アンケートの質問項目を数回に亙って検討し、面談で微調整を重ねた後、印刷。2.区画整備や電話番号の再編成等により変化が大きいので、昨年度の帰国者リストの再確認作業を行なった。3.アンケート送付・回収した。調査対象数は欧米留学帰国者約500名、日本留学帰国者約500名の計1000名。4.96年2月の時点までに回収されたアンケート数はおよそ500通。未統計データを基に日本側研究者が中国へ行き分析方針を検討した。報告書は96年内に一部出版し、年度末までに全報告書を出版予定。5.一方、アメリカに留学した後帰国しない元中国人私費留学生が非常に多いことから、アメリカへ行き元中国人留学生の実態を調査した。アメリカには約5万人以上の元中国人留学生が在留しているが、彼らが帰国しない理由はアメリカに職があり、Green Cardを持っているからというのが最も多く、何れ中国に帰るか否かは「今はわからない」が大半を占めた。人生の確固たる方針なしに彼らは「そこに職があり、そして自由があるからそこにいる」。地球上を彷徨い定着する留学生群像は新人類群像の一つだ。留学は今や勉学でなく生涯の生活、家族ごとの人生の移動そのものである。日本留学後、渡米した元中国人たちも「日本は永住権が得にくい。就職率も良くない。だからアメリカを選んだ。」と異口同音に答えた。大量の技術移民を認めてきたアメリカの魅力が留学の吸引力であるとするなら、留学とは何なのか。留学生政策は単なる 文部行政ではなく、留学生数の減少もその政策のせいではないことになる。しかし世界のこの潮流はこれでよいのだろうか。日本のやり方の方がむしろ正しいのではないかと思われるが、この辺の検討も必要だろう。なお科研期間内に論文発表をしたかったが、適当な投稿雑誌がなく報告書に全て集成する予定である。
すべて その他
すべて 文献書誌 (1件)