研究課題
本年度は、各国のエイズ教育・性教育の実態を調査するための調査用紙の作成を行うと共に、それに基づき、米国・カナダにおけるエイズ教育・性教育の実態調査(北米班)及び、フランス・スイス・スウェーデン・英国におけるエイズ教育・性教育の実態調査(欧州班)を実施した。1、北米班では、(1)米国での全米性教育協会で主に米国の民間レベルでのエイズ教育・性教育の情報を入手した。全米防疫センターでは全米各州のエイズ教育・性教育の実態調査や各州のガイドライン等を入手し、HIV教育は全米の32州で必修でそのうち17州は健康教育に中で実施していること、20州は小学校低学年(K-5)で実施していること等が明らかとなった。(2)カナダでは教育は各州・各地方で独自に行われ、オタワでは健康教育は保健体育として必修で、性教育・エイズ教育もその中で扱われている。しかし、10年生から選択となるため、性行動が活発になる時期に教育できないという矛盾がみられた。2、欧州班では、(1)フランスのエイズ予防情報センターでは、パリ市内の300校の小・中・高に医師・スクールナ-ス・心理関係ソーシャルワーカーでチームを作り年間1500回の介入を行っていた。(2)また、ユネスコ及び世界保健機関では、世界7か国でエイズ教育の実践を行っており、その活動内容が明きらかとなった。(3)スウェーデンでは、保健局、教育局での面接及び高校の授業参観等により、エイズ教育は性教育の一環としてなされており、そこではエイズやコンドームに対して事実を教え、個人の自己判断・自己決定能力を形成することが重視していることが明らかとなった。(4)英国では、保健局の健康教育機構がエイズ教育・性教育の調査研究を実施しており、その実態と各教育局で開発した各種教材・教具についての情報も入手できた。