研究課題
本年度は、欧州及びオーストラリアにおけるエイズ教育・性教育の実態調査及び授業実践の調査を実施すると共に、研究報告書の作成を行った。1、欧州班は、一昨年度の英国、スウェーデンのエイズ教育・性教育の実態踏査を踏まえ、それが実際の教育現場でどのように具体化されているかの調査を行った。(1)英国では、マンチェスター市の小学校と高等学校におけるエイズに関する授業を参観・授業研究を行った。高等学校ではHEA(Health Education Authority)が開発した、教師であれば誰にでもできる「耐教師性」のあるエイズ教育用教材が使用されており、PSE(Personal and Social Education)の時間に実施されていた。小学校では低学年のPSEの時間に、HIV感染者の心情と共生の仕方を理解させることを目的として、体験的学習と教師が優れた童話を読む授業がなされていた。(2)スウェーデンの中学校の授業では、教師による抗議に続き、意見が対立する状況設定のもとで、各自がどのような意見をもちそれをいかに表明するかを重視した「人間関係」を考える授業が行われていた。(3)イタリアのエイズ教育・性教育の実態を、国立地域保健サービス局で面接調査した。すべての高校の校長に対してエイズ教育の二日間の訓練コースが教育保健省の後援のもと国立保健研究所によって実施され、その後、全イタリアの各校一名の高校教師に対し健康教育の訓練がなされており、エイズ予防の教材キットが各高校に配布されえたことが判明した。2、オーストラリア班は、パース市を中心に、日本ではまだ開発途上にあるコミュニケーション・スキルを扱った授業を中心に小・中・高校での授業参観・授業研究を行った。性やエイズについて他者からの圧力の存在を認識させ、そのような状況下でも、望ましい行動選択ができる力を育てようとする授業であった。
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