研究課題/領域番号 |
06041018
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松谷 敏雄 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (30012975)
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研究分担者 |
MARIE Le Mie Maison de L'Orient Medicerraneen Univers, 研究員
小泉 龍人 早稲田大学, 文学部, 助手 (80257237)
西秋 良宏 東海大学, 文学部, 講師 (70256197)
古山 学 明治大学, 文学部, 講師
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キーワード | 土器新石器時代 / 農期、牧言の開始 / ユ-フラテス川中位段丘 |
研究概要 |
遺跡はトルコの国境から約35km南、ユ-フラテス川の左岸ににある。径が約70×60m、高さ10mほどの比較的小さなテル型遺跡である。その南に接してユ-フラテス川の一支流、ナハル・サリン川が西に向かって流れている。テル南斜面基部はこの川の侵食によって削平されており、かなりの急傾斜を呈する。 今回の試掘調査の目的は、テル堆積状況、遺跡の広がりをつかむことにある。そのために幅2mの階段トレンチをテル南斜面に4ヶ所開削した。4つのトレンチは頂丘から裾に向けて放射状に設定し、A(2×20m)、B(2×10m)、C(2×4m)、D(2×6m)と命名した。A、C、Dはテル南西部、Bは南東部に位置する。試掘地をテル南斜面に選んだのは、サリン川による侵食で後世の堆積物が除去されており、目的とする新石器時代層が比較的容易に検出しうると推定されたからである。 試掘の結果、予想通り、当遺跡には新石器時代の集落が埋もれていることが判明した。また、その上層にはウバイド、ウルク期の保存良好な集落跡が厚さ数メートルにわたって堆積していること、それらは時期ごとに遺跡の占地箇所が異なっていることもわかった。すなわち、トレンチA、C、Dでは新石器、ウバイト期の遺構・遺物が見つかったのに対し、トレンチBではウルク期の居住層のみが発見された。 今回の試し掘りによって、当遺跡には土器新石器時代、ウバイト、ウルク期という主に三つの時期にわたる集落跡が存在することが判明した。また、それらは分布を異にしていることもわかった。これらの情報をもとに次年度は発掘区をひろげ、新石器時代集落の具体的様相をつかみたい。
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