研究分担者 |
丁 俊 雲南省地質鉱産局, 技師長
羅 君烈 雲南省地質鉱産局, 教授
莫 宣学 中国地質大学, 技師
孟 憲国 中国地質大学, 助教授
趙 鵬大 中国地質大学, 教授
佐藤 興平 工業技術院, 地質調査所, 主任研究官
高木 秀雄 早稲田大学, 教育学部, 助教授 (60154754)
小林 祥一 岡山理科大学, 理学部, 助教授 (20109739)
板谷 徹丸 岡山理科大学, 蒜山研究所, 教授 (60148682)
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研究概要 |
近年人工衛星を利用する位置決め技術(GPS: Global Positioning System)が開発され,一般化してきている.そこで,この技術を中国雲南省における地質調査に利用した.雲南省は面積が38万km^2,このうち94%が山岳地帯で,6%が平地である.主な都市あるいは町と鉱山,およびこれらを結ぶ道路の途中の184箇所で,GPSによる位置決めを合計201回行なった.これらの場所のほとんどは,山の斜面であった.GPSでは4個の衛星を使えって位置決めを行なうことを標準とする.しかし,3個の衛星しか使えなくても,位置決めはできる.今回の調査では,なるべく4個の衛星によって位置を決めるよう努力した.しかし,山岳地帯では尾根や樹木で,都市部では建物で衛星が隠され,全測定の約30%では3個の衛星しか捉えられなかった.位置決めを行なった184箇所のうち,9箇所では時間あるいは日を変えて測定した.その結果よると,GSPによる位置決め精度は,4個の衛星が捕捉され,しかも再現性のよい所で100m以下,悪い所で300m以下,3個の衛星しか使えない場合,2000m以下である.かなり多くの地点が,山腹だったため2個以下の衛星しか捕まえられず,位置決めができなかった.しかし,これらの地点でも,測点から200mも離れると,3個以上の衛星を捕まえることができた。したがって,このような測点でも歩測をGPSを組み合わせることにより,位置が決められる.この場合,歩測の精度は方位測定の誤差まで含めても20m以下であるから,全体の精度は衛星による位置決めの精度とほとんど変わらない.GPSでは,基準点からの相対的位置を決める精度は,絶対的位置決め精度の2倍以上である.したがって,もし大尺度の衛星画像を用意することができるならば,衛星画像による測点付近の地形を考慮に入れることにより,より高い精度でGPSによる位置決めが可能となるはずである.
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