研究分担者 |
山室 真澄 通商産業省, 地質調査所, 研究官
小松 輝久 東京大学, 海洋研究所, 助手 (60215390)
鈴木 孝男 東北大学, 理学部, 助手 (10124588)
POLLARD P.C. Department of Chemical Engineering and M, 研究員
南川 雅夫 北海道大学, 地球環境科学, 助教授 (10250507)
國井 秀伸 島根大学, 汽水域研究センター, 助教授 (70161651)
相生 啓子 東京大学, 海洋研究所, 助手 (90107459)
木暮 一啓 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (10161895)
飯泉 仁 水産庁, 北海道区水産研究所, 室長 (00159550)
野島 哲 九州大学, 理学部, 助教授 (30112288)
向井 宏 北海道大学, 理学部, 教授 (00013590)
西平 守孝 東北大学, 理学部, 教授 (80004357)
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研究概要 |
本研究は熱帯の浅海域の中で重要な生態的位置を占める海草藻場と石灰藻などの集落における生元素循環を生物群衆の動態との関係で解析することを目的として、フィジ-の珊瑚礁湖内の海草藻場と石灰藻の群落を調査対象として調査を行い以下の成果を得た。 (1)海草藻場や石灰藻分布域の長期変動を調べるために,航空写真の画像処理と,藻場内外での潜水観測によるsea truthを行った.海草分布域は1979年から1993年の間に約6倍も拡大し、さらに分布域は91年からの5年間で岸側に22mも広がった。このような藻場の拡大は島における水利用の変更に伴う人為的な栄養塩の供給の増加がその一因と考えられる。 (2)藻場周辺域における変動は他の生物群衆にも見られた。最近5年間の群体ボヤの生息場所と生息密度を比べてみると大きく変動しており、これが藻場に変動により海草の上を主な生息場所にしている種類と、砂粒上にも生息できる種類との住み込み戦略の異なりによると思われる。又この生態系には共生藻を持つ動物群が多く、海草および石灰藻の表面に高密度で付着する原生動物Lagenophyraも共生藻を持つことがわかった。 (3)サンゴ礁の内外の環境の違いにより生物生産および食物連鎖を比較するために、懸濁態有機物、生物群集の13C、15N同位体比を調べた。その結果、水柱のPOM濃度の高い順に藻場・サンゴ礁・ハリメダの繁茂するサイト・外海となり、炭素同位体と正の相関がみられ、生産性が同位体組成に反映されることが確認された。又海草と付着藻類の同位体比の違いから藻場の大型底生動物は,大型植物よりは付着ラン藻起源の有機物により依存していると推察された.同様なことが草食性魚類でも示唆された。アセチレン法を用いた付着ラン藻による窒素固定活性もこの推定を支持している。以上の調査の結果は海藻藻場はその大きな表面積を持つことによって、付着藻類や動物を保持しており、その機能は石灰藻などの群落に比べてはるかに大きいことが考えられる。
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