| 研究概要 |
今年度は、南アフリカ国内の諸言語の厳密な言語学的を通じての記述言語学・比較言語学的調査を行った。調査した言語はズールー語ピーターマリッツバーグ語、ズールー語ソエト語、コサ語、ンドゥンザ語、南ソト語、ツアナ語カタ方言、ンデベレ語、ペティ語、ツォソガ語、ヴェンダ語等である。特に、ズールー語に関してはこれまでの諸外国の報告では明確にされてこなかった音調を左右する特殊子音に対する手掛かりが見いだされ、その調査のために、ナタール州のイショーウェ多数地域の方言を補充調査した。
具体的な調査内容は、各言語ともに約2,000ないし3,000語の語彙調査から始めて、音韻、音調、文法など、その言語の全体像を解明するための総合調査である。これらは全てその言語の優れた話し手に直接面談を行い、聞き取り調査を通じて行われた。これらの調査を通じ、特にズールー語の音調を左右する特殊子音に対する新たな知見が得られた。これは、これまでの諸外国の研究も含めて、その全体像が不明のままに、部分的な記述しかなされてこなかったものであるが今回の我々の調査でその全体像を解明する手掛かりが得られたものと確信する。この点に関しては次回以降も調査を続ける予定である。また、このズールー語の精密調査のために、ナミビア調査は次回に延期した。
これらの成果は、「アジア・アフリカ言語文化研究所」(AA研)、「アジア・アフリカ文法研究」(AA研)、「通信」(AA研)、東京大学言語学論集(東大)などの定期刊行物、日本言語学会、日本アフリカ学会などの学会研究会発表会を通じて発表する予定である。
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