研究分担者 |
CEVAT Geray アンカラ大学, 政治学部, 教授
RUSEN Keles アンカラ大学, 政治学部, 教授
間 寧 アジア経済研究所, 研究員
足立 典子 慶応義塾大学, 商学部, 助教授 (70202637)
足立 信彦 東京大学, 教養学部, 助教授 (10175888)
林 徹 東京外国語大学, A・A研究所, 助教授 (20173015)
関 啓子 一橋大学, 社会学部, 教授 (20107155)
矢澤 修次郎 一橋大学, 社会学部, 教授 (20055320)
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研究概要 |
平成6年度の調査では,ドイツを中心に,トルコ人移民を取り巻く政治・社会・経済・文化の状況を把握し,それらに対して移民社会の側が,どのような応答をしているかを調査・研究した。ドイツにおいては,90年の東西統一とそれに伴う雇用状況の悪化,新外国人法の施行による帰化要件の緩和,そして同じく90年の外国人に対する参政権付与の違憲判決等が,移民社会に与えた影響とそれらに対する反応を中心に,調査を実施した。一方,オランダ,フランス等の周辺国においては,移民の社会統合をめぐる争点を明確にすることに主眼をおき,ドイツにおける移民問題との構造的差異を明らかにしようと試みている。より具体的な課題としては以下の諸項目を重点的に調査してきた。 (1)帰化の動向と二重国諸者の増加(ドイツ)(2)移民の政治参加にともなう移民社会の政治動向の多様化(オランダ)(3)国家原則としての政教分離とムスリム移民との摩擦の問題(フランス) さらにトルコにおいては,永住帰国をした移民たちの投資動向と政治参加への動向という二つの課題を中心に調査を実施した。また,在外移民組織,とりわけイスラム復興主義勢力が,トルコ本国の政治動向に対して,いかなるインパクトを持ちうるのかについても,その実態の把握につとめた。 本年度の成果をもとに次年度以降の研究の焦点をあげれば以下のようにまとめられる。移民後30年を経て,移民社会は主として二つの方向,即ちイスラム復興と脱宗教化の方向へと分極化の傾向を示している。この現象はドイツのみならず周辺諸国にも共通している。しかし,イスラム復興現象に関しては,ホスト社会側が多文化主義にどのように対処したか,多民族共生に対してどのような移民政策を実現してきたかに大きく左右されている。平成7年度は,特に移民のイスラム復興運動への参加の動向を中心に調査を行う。
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