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1996 年度 実績報告書

トルコからドイツへの出稼ぎ移民の社会・文化変容に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 06041041
研究機関一橋大学

研究代表者

内藤 正典  一橋大学, 社会学部, 助教授 (10155640)

研究分担者 ジョシュクン チョルズ  アムステルダム外国人研究センター, 研究員
間 寧  アジア経済研究所, 地域研究部, 研究員
足立 典子  慶應義塾大学, 商学部, 助教授 (70202637)
足立 信彦  東京大学, 教養学部, 助教授 (10175888)
林 徹  東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (20173015)
関 啓子  一橋大学, 社会学部, 教授 (20107155)
矢澤 修次郎  一橋大学, 社会学部, 教授 (20055320)
キーワード移民 / イスラーム復興 / 血統主義 / 統合 / 異文化理解 / 外国人労働者 / 多文化 / 多民族
研究概要

本研究は、過去30年以上にわたって、ドイツを始めとする西ヨーロッパ諸国に移民してきたトルコ人を対象に、彼らがヨーロッパに生活する上で直面する社会的、文化的諸問題とは何であるのかを明らかにした。
本研究の成果として特筆すべき点は、移民を受け入れてきたホスト社会(あるいは国家)が発見した移民問題と移民自身が発見した移民問題との間には、重大な認識上の差違が存在することを実証的に明らかにしたことになる。
ドイツにおいて、トルコ系移民の存在が移民問題として認識されたのは、1973年の第一次石油危機以降のことであり、そこでは、移民人口の増大が、雇用を圧迫するという経済的問題と同時に、異質な民族の増加が文化的同質性を損なうのではないかという文化的問題とが指摘されてきた。他方、トルコ系移民の側は、ホスト社会からの疎外及び出自の文化の維持とホスト社会への統合のあいだのジレンマが主たる問題として認識されていた。
この両者の乖離の要因を探求することが、第二年度及び最終年度の主要な課題となった。その結果、ホスト社会側と移民側との争点は、ホスト国の形成原理にまで深化していることが明らかとなった。ドイツの場合、国民(Volk)の定義に、血統主義的要素を採用しており、血統上のドイツ国民と単に国籍を有するドイツ国民という二つの国民が混在することが最大の争点となっているが、ドイツの研究者及び移民政策立案者も、この点を争点と認識することを回避していることが明らかとなった。
このような状況下では、移民の文化継承に関して、移民自らホスト社会への統合を忌避しイスラーム復興運動に参加するなど、異文化間の融合は進まず、むしろ乖離しつつあるという興味深い結果を得た。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] MASANORI NAITO: "INTEGRATION OR EXILE:GERMAN AUSLA'NDEPOLITIK AND TURKISH MIGRANTS" HITOTSUBASHI JOURNAL OF SOCIAL SCIENCES. Vol.27. 69-87 (1995)

  • [文献書誌] 間 寧: "トルコの混迷する連立政治" 現代の中東. 第21号. 36-46 (1996)

  • [文献書誌] 内藤 正典: "アッラ-のヨーロッパ" 東京大学出版会, 344 (1996)

  • [文献書誌] 内藤 正典(編著): "もうひとつのヨーロッパ" 古今書院, 281 (1996)

  • [文献書誌] 内藤 正典 編者:小杉 泰: "イスラームに何がおきているか 第4章「イスラーム問題」の神話と現実(248〜267ページ)" 平凡社, 353 (1996)

  • [文献書誌] 足立 信彦 編者:内藤 正典: "もうひとつのヨーロッパ 第2章 ドイツという国の生きにくさ(19-30ページ)" 古今書院, 281 (1996)

  • [文献書誌] 足立 信彦: "言語・人種・多様性" 新世社(印刷中), (1997)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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