研究分担者 |
KING R.J. ニューサウスウェールズ大学(オーストラリア), 助教授
SWANSON K.M. カンタベリー大学(ニュージーランド), 講師
DE Deckker P オーストラリア国立大学, 教授
田中 次郎 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (30167499)
和田 恵次 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (80127159)
向井 宏 北海道大学, 理学部, 教授 (00013590)
山口 寿之 千葉大学, 理学部, 助教授 (10101106)
ROSS R.M. 静岡大学, 理学部, 助手 (70252161)
阿部 勝巳 静岡大学, 理学部, 助教授 (80151091)
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研究概要 |
オーストラリア大陸東海岸のほぼ全域(北は木曜島からケアンズ,ブリスベイン,シドニー,メルボルンを経て南はタスマニア島まで)とニュージーランドのおもに東海岸(クライストチャーチおよびオ-クランド周辺)を調査した。介形虫に関しては、池谷は主として海草や海藻の葉上に生息する種を採取し、ロスはダイヴィングによって底質資料を,阿部はトラップによってミオドコ-パ類を採集した。介形虫は微小で顕微鏡による観察を必要とするため,採集した時点ではサンプルの内容を十分に知ることができない。しかし調査旅行に持参した顕微鏡によって行なった予察的な検鏡によると,調査地にはきわめて豊富な介形虫フォーナがあり、日本沿岸のフォーナと一部類似する等のことが確認された。今後フォーナの全貌を明らかにし、西部太平洋の生物地理という観点から分析していく予定である。山口は朝間帯の蔓脚類を観察・採集し、一部のサンプルには分子生物学的研究に供するための処理を施した。タスマニア島からは、蔓脚類全体の系統や種分化過程を論じる上で重要な情報が得られた。和田はおもにマングローブ帯の十脚類(カニ)の縄張り等の行動様式を肉眼やヴィデオカメラで観察し、あわせて標本の採集を行なった。向井はダイヴィングによって海草帯でプランクトンネットを曳き,十脚類(エビ)を採集した。田中は海藻を数多く採取することに成功し、動物群で今後行なわれる生物地理学的検討に、植物群からの基礎データを供給する。 ニュージーランドのリ-臨海実験所では、「生きてる化石」とも言われる介形虫マナワの採集に成功し、世界で初めての顕微鏡ヴィデオ観察にも成功した。この標本には今後透過型電子顕微鏡での観察を含め,さまざまな検討を加えていく予定である。
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