研究分担者 |
ディルヒャー D. フロリダ大学, 自然史博物館, 教授
ルペイジ B アルバータ大学, 理学部, 研究員
バシンジャー J.F. サスカチュワン大学, 理学部, 助教授
マッカイバー E.E. サスカチュワン大学, 理学部, 研究員
ワイン R.W. アルバータ大学, 森林科学部, 教授
渋谷 昌資 愛媛大学, 農学部, 助手 (70036317)
福島 和彦 名古屋大学, 農学部, 助手 (80222256)
小嶋 智 名古屋大学, 農学部, 助教授 (20170243)
野堀 嘉裕 山形大学, 農学部, 助教授 (80237867)
北川 勝弘 名古屋大学, 農学部, 助教授 (30023477)
林 和男 愛媛大学, 農学部, 助教授 (80111839)
梅村 武夫 名古屋大学, 農学部, 教授 (10023417)
寺島 典二 名古屋大学, 名誉教授 (50023396)
中井 信之 名古屋大学, 名誉教授 (40022529)
KUMAGAI H. Assist.Prof. Faculty of Science, Nagoya University
SHIBUYA M. Assist.Prof. Faculty of Agriculture, Ehime University
KOJIMA S. Assoc.Prof. Faculty of Science, Nagoya University
NOBORI Y. Assoc.Prof. Faculty of Agriculture, Yamagata University
KITAGAWA K. Assoc.Prof. Faculty of Agriculture, Nagoya University
HAYASHI K. Assoc.Prof. Faculty of Agriculture, Ehime University
NAKAI S. Prof.Emr. Faculty of Science, Nagoya University
TERASHIMA N. Prof.Emr. Faculty of Agriculture, Nagoya University
MCIVER E.e. Res.Assoc. Faculty of Sciece, University of Sasktchewan
DILCHER D. Professor Museum of Natural History, University of Florida
LEPAGE B. Res.Assoc. Faculty of Science, University of Alberta
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研究概要 |
本研究では、平成3-4年文部省科学研究費(国際学術研究)を受けて行ったカナダ北極海のアクセルハイベルグ島およびエルズミュア島の第三紀の化石林の現地発掘調査の結果を取りまとめた。 カナダ北極海のアクセルハイベルグ島とエルズミュア島には第三紀の森林が土中に氷蔵されている。これら4000万年-6500万年前の森林の化石の特徴は、樹木が生育時の状態で地中に根を張ったまま保存されていることで、そのため単に森林を構成する樹木の種やその成長過程だけではなく、樹木相互の競合関係、森林現存量、森林純生産など往時の森林生態系の復元が可能である。またこうした森林の存在は往時の地球がきわめて温暖であったことを意味するが、森林生態系の復元を通じ、現在では氷に閉ざされた北極海諸島に森林の存在を可能にした往時の地球環境の復元も可能である。本研究では上記の現地発掘調査の結果に加え、現地から持ち帰った諸試料に一次的解析を加えてこれらの化石林、その生態系およびそれを取り巻く往時の地域的および地球規模の環境を復元推定した。 これらの化石林が数千万年の時間を経て今日まで保存された大きな理由として、 1)森林の生存時および死滅直後は沼沢地にあったため樹木の遺体は嫌気的状態に保たれ酸化分解を免れた 2)その後第四紀に至るまでの数千万年間は地層中に埋没していたが、この間の地殻変動が穏やかであったため変動にともなう物理的破壊を免れた 3)第四紀の地殻変動で再びこの化石林が地表あるいは地表近くに露出したが、このときは地球がすでに寒冷化しており、露出後の数十万年間は冷凍保存状態にあった という三点が挙げられる。このうち本研究の目的とする化石林の復元にあたっては上記1)が特に重要なため、本研究では今日この化石林と類似の状態にある米国フロリダ州の沼沢林にて、その生態および樹幹形につき現地調査を行い森林復元の参考とし、具体的には下記の解析を行った。 1.発掘地の地形図作成(北川) 2.樹種の同定(バシンジャー、マッカイバー) 3.発掘試料の年代決定(小嶋、中井) 4.立木位置、直径分布、森林現存量等、森林の復元(末田、梅村) 5.化石林の三次元景観的復元(野堀) 6.現生の沼沢林の生態学および堆積学的現地調査(末田、林、熊谷) 7.復元された森林の生態学的解析(ワイン) 8.化石木の年輪測定と年輪年代学的環境復元(熊谷、末田) 9.樹木遺体材鑑の電子顕微鏡写真撮影と木材組織学的解析(林) 10.現生樹種との木材組織学的比較(林) 11.現生樹種との年輪年代学的比較(熊谷、末田) 12.樹木遺体の有機化学分析(福島、寺島) 13.樹木遺体を含む第三紀層の堆積学的解析(小嶋) 14.往時の堆積環境の復元(小島) また,上記の現地調査結果のとりまとめ,解析および比較のための現生の沼沢林調査を行うなか,平成6年9月には外国人研究分担者を日本に招聘して,現地調査の結果を踏まえて化石林とその生態系,及び往時の環境の復元について打ち合わせるための検討会をもち,また時間の許す限り個別の研究分担者間の研究調整を行い,化石林の復元結果およびその解釈について統一性を図った。
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