サヘルと南インドにおける在来農法の再評価と両地域間技術移転の可能性に関する研究

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06041057
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 応地 利明 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (60024212)
• 研究分担者: マハーデブ P マイソール大学, 地理学科, 教授 ; 三浦 励一 京都大学, 農学部, 助手 (60229648) ; 月原 敏博 大阪市立大学, 文学部, 助手 (10254377) ; 田中 樹 京都大学, 農学部, 助手 (10231408)
• キーワード: 半乾燥地農業 / 雑穀農法 / 有蓄農耕 / 農業生産構造 / 土地利用体系 / 土壌保全技術 / 雑草管理 / 水平技術移転

研究概要

平成7年度、研究代表者と各研究分担者は平成6年度に実施した西アフリカでの調査資料の分析を行うとともに、それぞれが南アジアでの現地調査を行った。以下、研究者ごとにその実績の概要を示す。
研究代表者応地は、南アジアからサヘルへの水平技術移転の可能性を探るという本研究計画全体を総括する立場から、南アジア広域において雑穀を中心とする主要作物についての栽培技術体系および諸農具の調査を行った。これによって南アジアと西アフリカの双方に見られる在来農法の諸特徴に関する知見は一層深められた。
田中は、インドにおける在来の土壌管理技術について調査し、土壌試料を収集した。平成6年度に西アフリカで得た土壌の分析との比較検討によって判明した土地生産力の違いについては、その結果の一部を土壌物理研究会シンポジウムで発表した。
月原は、インドのデカン高原を中心に村落調査を行い、家畜飼養を基軸に据える観点から在来農法を調査した。また、平成6年度にパリで得られた航空写真から、西アフリカの村落地図を解析図化機をもちいて図化した。
三浦は、インド各地の作物栽培管理法ならびに雑草植生について調査したほか、平成6年9月に急逝した研究分担者、小林が西アフリカで収集した植物資料の分類整理を行って、来年度のアフリカ調査に備えている。
以上、今年度までに得られた研究成果の一部は、仏文、英文による中間報告書にまとめたとおりである。これは、現地政府機関を含む関係諸機関に配布する予定である。

研究成果

• [文献書誌] Ohji,T.: "Traditional rice cultivation methods and a survey of plows in Thaiand : with special reference to the development of plow technology." 東南アジア研究. 33. 145-180 (1995)
• [文献書誌] 応地利明: "前近代アジア都市論構築のための試論" 建築思潮. 3. 115-126 (1995)
• [文献書誌] Tanaka,U. ,Wada,T. etal.: "Evaluation of crusting susceptibility of some Japanese soils based on water permiability and morphologoy of crusts." Soil Sci. Plant Nutr.41. 263-274 (1995)
• [文献書誌] 田中樹: "土壌クラストの形成機構とそれに影響を及ぼす諸条件" 土壌の物理性. 71. 17-21 (1995)
• [文献書誌] 三浦励一・E.G.Ashok: "インドの伝統的雑穀畑における雑草の利用例" 雑草研究. 41(別)発表予定. (1996)
• [文献書誌] 応地利明: "インド・道の文化誌(分担執筆)" 春秋社, 15 (1995)
• [文献書誌] 応地利明: "地理学概論(分担執筆)" 朝倉書店, 21 (1995)
• [文献書誌] 応地利明: "ニジェール川大湾曲部の自然と文化(分担執筆)" 東大出版会(近刊), (1996)
• [文献書誌] 応地利明: "濃耕空間の多様と選択(分担執筆)" 大明堂, 25 (1995)
• [文献書誌] Tanaka,U.and Kyuma,K.: "Sealing,Crusting and Hardsetting Soils(分担執筆)" ASSS Inc. (Queensland), 4 (1995)
• [文献書誌] 月原敏博: "アジアと大阪(分担執筆)" 古今書院(近刊), (1996)