東南アジア熱帯雨林の林冠構造と生物多様性の研究

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06041063
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 井上 民二 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (90109041)
• 研究分担者: LEE Hua Seng サラワク林野庁, 研究担当次官 ; HAMID Abang サラワク林野庁, 研究員 ; 市岡 孝明 名古屋大学, 農学部, 助手 (40252283) ; 寺内 良平 京都大学, 理学部, 助手 (50236981) ; 永益 英敏 京都大学, 総合人間学部, 助手 (90218024) ; 山根 正気 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (30145453) ; 市野 隆雄 香川大学, 農学部, 助教授 (20176291) ; 加藤 真 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (80204494) ; 湯本 貴和 京都大学, 生態学研究センター, 助教授 (70192804)
• キーワード: 熱帯雨林 / 混交フタバガキ林 / 環境変動 / 植物繁殖システム / 動植物相互作用系 / 送粉共生系 / 個体群動態 / 遺伝構造

研究概要

1.植物フェノロジー調査:林冠調査区内の樹木,つる,着生などの植物に個体識別コードを順次つけ(約600本),花芽形成から開花,結実にいたる繁殖ステージと展枝,展葉の生長ステージの記録を月2回継続している.
2.昆虫個体群トラップ調査:林冠の4箇所(林床,中木層17.5m,高木層をぬけた35m,およびギャップになった地上部)に誘蛾灯(UVライト)による採集を月1回のペースで継続している.
3.動植物共生系調査:フタバガキ科など突出木,高木層を形成する樹木や着生植物,つる,林床植物ん送粉過程,種子散布過程(捕食も含む)の調査を約50種の植物でおえた.
4.植物繁殖システム,遺伝構造調査:フタバガキ科Dyobalanops属とショウガ科のDNAサンプルの採取を終了し,現在分析中である.
5.動植物標本管理と分類学:林冠調査区の植物標本と昆虫標本の整備が順調に進んでいる.とくにアリ類については山根正気がタイプ標本との照合のためにヨーロッパの博物館を訪問し,同定を終了した.
7.研究成果の出版:調査結果は現在順調に投稿され,出版されている.

研究成果

• [文献書誌] Inoue,T;Yumoto,T;Hamid,A,A;Seng,L.H;Ogino,K.: "Construction of a canopy observation system in a tropical rainforest of Sarawak" Selbyiana. (1995)
• [文献書誌] Terauchi,R.: "A polymorphic microsatellite marker from the tropical tree Dyobalanops lanceolata(Dipterocarpaceae)" Jpn.J.Genet.69. 567-576 (1994)
• [文献書誌] Momose,K.;Nagamitsu,T.;Inoue,T.: "The reproductive ecology of an emergent dipterocarp in a lowland rainforest in Sarawak" Am.J.Bot.(1995)
• [文献書誌] Kato,M.;Inoue,T.;Hamid,A.A.;Nagamitsu,T.;Merdek,M.B,;Nona,A.R.;Itino,T.;Yamane,S.;Yumoto,T.: "Seasonality and vertical structure of light-attracted insect communities in a dipterocarp forest in Sarawak" Researched on Population Ecology. (1995)
• [文献書誌] Yumoto,T.;Itino,T.;Nagamasu,H.: "Pollination of hemiparatites (Loranthaceae) by spider hunters (Nectariniidae) in the canopy of a Bornean Tropical Rainforest" Selbyiana. (1995)
• [文献書誌] 湯本貴和、井上民二: "サラワク林冠生物学計画 -混合フタバガキ林のフェノロジーと植物・動物相互の解明をめざして" Tropics. (1995)